水嶋ヒロ主演で実写化も決定! 「執事系マンガ」の魅力とは?

公開日:2013/1/18

 つい先日、水嶋ヒロが俳優として復帰するというニュースが世間を賑わせた。長らく表舞台から遠ざかっていた彼の復帰作は、『黒執事』(枢 やな/スクウェア・エニックス)を原作とする映画。人気漫画がついに実写映画化されるとあって、水嶋ファン・原作ファンともに盛り上がっているのだろう。

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 この『黒執事』は2013年1月の時点で15巻まで発行されており、その累計発行部数は1400万部にものぼる人気作だ。物語の舞台はイギリス。名門貴族として知られるファントムハイヴ伯爵家の執事・セバスチャン・ミカエリスが主人公だ。ミカエリスは容姿端麗、品行方正で、やることなすこと完璧な人物。だが、その正体は悪魔。一般人では到底無理なことを簡単にやってのけるのも納得である。彼が仕えるのは、ファントムハイヴ伯爵家の現当主である少年・シエル・ファントムハイヴ。彼らは、表向きには名門貴族の人間であるが、英国王家のために裏社会の管理を行うという顔も持っている。前述の水嶋ヒロは実写版ミカエリスを演じるらしいが、一体どのように我々を魅せてくれるのか、今から楽しみだ。

 これを受けて、今盛り上がりを見せているのが、「執事系漫画」だ。執事の存在はなかなか馴染みのないものだが、その非日常感もウケている理由のひとつだろう。そこで、『黒執事』に勝るとも劣らない、面白い「執事系漫画」をいくつか紹介したい。

 過去に2度テレビアニメ化され、現在も新シリーズが放送中の人気作『ハヤテのごとく!』(畑 健二郎/小学館)。同作の主人公・綾崎ハヤテも執事である。元は平凡な高校生であったハヤテだが、あるとき両親が1億5680万4000円もの借金を残して失踪。しかし、ひょんなことから大富豪・三千院家の令嬢であるナギに惚れられ、彼女がその借金を丸々肩代わりすることに。その恩を返すために、ハヤテは日々奮闘するという、コメディー色の強い作品だ。親の借金のために執事として働くという主人公の境遇は、ともすれば笑えない状況でもあるが、それをものともせず、懸命に業務を遂行する姿は、まさに執事の鏡ともいえるかもしれない…。

 また、『執事様のお気に入り』(伊沢 玲:作画、津山 冬:ストーリー構成/白泉社)は、イケメン執事がわんさか登場し、執事好きにはたまらない作品だろう。主人公の氷村 良は、両親を事故で亡くしたことをきっかけに祖父母に引き取られ、全寮制の名門高校、双星館学園に編入することになる。そこで出会った神澤伯王に気に入られ、彼から専属執事の申し出を受けることになるが――。と、物語冒頭から、乙女心を刺激してやまない展開だ。

 どの執事にもいえることだが、そこで描かれているのは(程度の差こそあれ)主人に対する忠誠心。人間関係が希薄になりつつある現代において、執事と主人との間に漂う絆はもはやファンタジーであるともいえるだろうが、みんな心の底では執事と主人との関係に代表されるような“深い絆”を求めているのかもしれない。

文=磯田大介(OfficeTi+)