オトナ女子が読みたいエロ系文庫

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/25

 ――これじゃ、女はイケないでしょー―「女による女のためのR-18文学賞」創設のきっかけは、男性視点の官能小説に異を唱える、女性編集者たちのそんな声だったという。女が自然に感じることのできる性をテーマにした小説の追求――だがそれは、その趣旨に創作意欲を刺激された新たな書き手たちによって独自の進化を遂げていった。

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「“こういう書き方もあったんだ!”と、応募作に見るイマジネーションには毎回、驚かされていますね」と語るのは、新潮社「女による女のためのR-18文学賞」担当の西麻沙子さん。昨年度の第11回から“官能”という枠を外し、「女性ならではの感性を生かした小説」と幅を広げた同賞だが、その発展的リニューアルは、さまざまなテーマへと枝分かれし、気負いなく性を読むことのできる作品が次々と登場している女性向けエロ系文庫の盛況ぶりとも重なる。――取材・文=河村道子

R-18文学賞をはじめ、今や女性視点のエロ系文庫は驚くほどにバラエティ豊か。『ダ・ヴィンチ』2月号ではそんな、女性のための絶品官能小説を大特集。その中から、ひそやかな妄想の広がりを叶えてくれる作品をタイプ別に厳選している。

 足を踏み入れてはならない。わかってはいるけれど、そこには蜜のような快楽がある。そんな「禁断の愛と性」に惹かれる読者におすすめなのは、『ホテル・アイリス』(小川洋子)。街から孤立する島に住む老人と、彼に両手両足の自由を奪われた17歳の少女のインモラルなSM愛を描いた作品だ。

 ほかに、親友の死後、親指がペニスになってしまった女子大生が理想の性行為を求める『親指Pの修業時代』(上・下)(松浦理英子)、3人の女子アナのあられもない濡れ場から物語が始まる『オンエア』(上・下)(柳 美里)、兄妹の罪悪感が官能を高ぶらせる『焚火の終わり』(上・下)(宮本 輝)、援助交際・SM・輪姦・不倫・同性愛など自身のエロス遍歴を綴った『愛より速く』(斎藤綾子)が紹介されている。

 特集では、20冊以上の女性による女性のための官能小説を一挙紹介。どんどん進化を遂げる、その奥深い魅力に迫っている。

(『ダ・ヴィンチ』2月号「文庫ダ・ヴィンチ」より)