ヒャダイン新連載!【第1回】自分が間抜けなので、ビートたけし『間抜けの構造』を読んでみた。

更新日:2013/8/9

変幻自在のネオネオポップアイコン ヒャダイン(前山田健一)による気ままな読書感想文!

 ども。あけましておめでとうございます。2012年はいろんなことがあってバタバタだったんですが、2013年もバタバタで楽しみながら頑張りたいと思います。

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 さて。最近本当にありがたいことに色んなテレビ番組に出演させていただく機会をいただいています。テレビで観る人たちが目の前で動く様子は何だか自然なような不自然なような妙な感覚に襲われます。去年始まった「musicるTV」ではMCをさせていただいているのですが。自分の「間」の悪さに辟易してしまうことが多々あります。会話がバッティングしたり、しらけさせてしまったり、トンチンカンな質問したり、大事なところで噛んだりと・・・。このままじゃ干されるんじゃないか、と思って、巨匠・ビートたけしさんの新刊を読んでみました。

 

『間抜けの構造』

ビートたけし/新潮新書

見渡せば世の中、間抜けな奴ばかり。どいつもこいつも、間が悪いったらありゃしない。“間”というものは厄介で、その正体は見えにくいし、コントロールするのも難しい。けれど、それを制した奴だけが、それぞれの世界で成功することができるんだよー。芸人、映画監督として、これまでずっと“間”について考え格闘してきたビートたけしが、貴重な芸談に破天荒な人生論を交えて語る、この世で一番大事な“間”の話。

 200ページ弱の文庫本なのですが、かなり読みやすかったです。まるで飲み屋でたけしさんから直接お話を聞いているかのようなやさしさ。一人称が「おいら」なあたりで少し堅くなりそうな話題でもふわっと柔らかくなるから、たけしさんの演出力ってすごいな。

 さてさて本の内容なのですが、ひたすら「間」について語っています。まず最初に、間が悪い人たち、すなわち間抜けな人々の具体例を実名とともにガンガン出しています。政治家からたけし軍団のみなさんまで。そのシニカルな視点と弟子たちへの愛情に溢れた文章はなんだかニマニマしてしまいます。その後は漫才、落語、テレビ、スポーツ・芸術と、章に分けてそれぞれの間について具体的にたけしさんなりの「間」論を語っています。特に漫才、テレビの章に関してはhow-to本なのか、というくらいに具体的で、一般的というか、お笑いを目指す人、そしてテレビに出演する人の教科書のような内容となっています。例えば「司会者がスーっと息を吸った瞬間に雛壇芸人は声を出すのがセオリー」とか、最近のテレビはテロップなどによって「間」がなくなっているからその分聴覚だけに訴えかけるラジオは「間」を作ることで聴き手に想像力を膨らませることができるメディアだ、とか。ふむふむ、ほうほう、とまるで教科書を読むかのように読ませていただきました。