大人気映画『テッド』だけじゃない! BL界でも“クマ”ブーム

更新日:2013/1/29

 日本でも映画の公開からわずか3日で興行収入4億円を突破し、世界中の人々を魅了している『テッド』。主役は動いてしゃべる中年テディベアなのだが、どうやらBLでもクマのぬいぐるみは大人気のようだ。

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 12月28日に発売された『幽霊ときどきクマ。』(水壬楓子:著、サマミヤアカザ:イラスト/幻冬舎)では、幽霊になった少年・嬉野恵が、自分の体を探してもらうために刑事である蓮見辰彦のもとに行く。そして、部屋に置いてあったクマのぬいぐるみに乗り移ってあちこち連れて行ってもらうのだ。また、『俺はくまちゃん』(成瀬かの:著、友江ふみ :イラスト/心交社)では恋のおまじないに効く“幸福のくまちゃん”というぬいぐるみが出てくるし、1月24日に発売された『クマに恋した僕』(ひらえり/ふゅーじょんぷろだくと)にいたっては、クマが好きすぎて着ぐるみに恋してしまう大学生・野上拓まで登場する。

 本物は獰猛で決してかわいいわけじゃないのに、なぜぬいぐるみや着ぐるみではイヌでもネコでもウサギでもなく、圧倒的にクマが人気なのだろう?

 その理由のひとつは、かわいらしいフォルムにある。ぽっこり出たお腹や短い手足。大きくてつぶらな瞳や足を投げ出してちょこんと座っている姿は、人間の赤ちゃんをイメージさせるらしい。だから、女性の中にある母性をくすぐる。しかも、そんなクマが『幽霊ときどきクマ。』に出てくるクマのように頭を下げたり首をかしげたり。枕にしがみつくようにしてへばりつきながら添い寝したり、丸っこい手でお手のように手を差し出してくる姿を想像したらたまらなく萌える。逆に、強面の中年刑事がクマのぬいぐるみと添い寝したりそれを抱いて仕事している様子にもキュンとくるはず。

 また、クマには“男の子”のイメージもある。クマのぬいぐるみに男の子の名前をつける人は多いし、『俺はくまちゃん』で主人公の高校生・瀬戸内蓮が持つ“幸福のくまちゃん”に伝わるおまじないだって、好きな人の名前をつけると結ばれるというものだった。それにくまのプーさんやパディントン、くまモンといった有名なクマのキャラクターだって性別はオスなのだ。ウサギやネコだとどうしても女の子のためのもののような気がするが、クマなら男の子が持っていてもそれほど違和感がない。

でも、1番の理由は一緒にいる時間の長さではないだろうか。ぬいぐるみは小さい頃にプレゼントとして人からもらうことが多い。そのため、肌身離さず持っていることや抱きしめて一緒に眠ることも。一緒に過ごす時間も自然と長くなるし、その分思い入れも強くなる。だからなのか、幽霊や魂を引き寄せて宿らせたり、おまじないとして使われたりすることも多いようなのだ。

 『幽霊ときどきクマ。』の恵が辰彦の家にあるクマに乗り移れたのだって、小さい頃にそれと同じクマのぬいぐるみを買ってもらったことがあったから。『俺はくまちゃん』の“幸福のくまちゃん”は、蓮の母親が自分の母親からもらってずっと大事にしてきたものだし、『クマに恋した僕』で野上がクマ好きになったのも、初恋の人からクマのキーホルダーをもらったからだ。

 1番近くでずっと見守り、大切な人との間をつないでくれるクマのぬいぐるみたちだからこそ、こんなにも多くの人から愛されるのだろう。みなさんも、もし大切な人に贈るプレゼントで迷ったら、クマのぬいぐるみを贈ってみては?