開き直りが大事? 専業主夫から学ぶ“イクメン”の極意

出産・子育て

更新日:2014/2/8

 4月からNHKで幼児向け番組『おとうさんといっしょ』(BSプレミアム)が始まることが発表された。番組のタイトル通り、子どもはもちろん、育児に積極的に参加する男性を応援する内容になるのだとか。最近では“イクメン”という言葉がすっかり定着し、彼らをサポートするサービスが増え、男性の育児休暇取得率も上昇しているという。

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 しかし実際は、理想の子育てを追い求めて夫婦仲がこじれるパターンや育児参加にのめり込み過ぎて産後ウツになる男性もいるのだとか。こういったケースを耳にすると、「男性に育児は向かない?」と思いがちだが、世の中には妻が大黒柱として働き、夫が専業主夫として育児や家事を担当する夫婦もいる。『子育て主夫青春物語「東大卒」より家族が大事』(言視舎)の著者・堀込泰三さんもまさに専業主夫の立場を経験したひとり。男性が育児するうえで気をつけるべきポイントはどこにあるのか、本書から学んでみたい。

 堀込さんは自動車メーカーに勤務していたものの、仕事の都合で育休が取れない夫人の代わりに、2年間の育休を取得。その間に夫人の仕事で一家で渡米、しかし育休の期限が迫ったため単身帰国。子どもの成長過程をそばで見ることができない生活に耐えられず退職し、主夫としての生活を選んだという異色の経歴の持ち主。

 長男が生後2カ月のころに夫人が復職し、主夫となった堀込さんの前に立ちはだかったのは、「母乳」という大きな壁。もちろんミルクだけで育てることも可能だが、堀込さんは「子どものためというよりは、むしろ妻のため」夫人の職場に毎日2回ほど通って授乳させていたという。それは仕事のために「子どもと過ごす時間」をあきらめてほしくないという思いからだそうで、そのために職場の近くに住んでいたとか。働き手としての妻と、母親としての妻を尊重することが、子育ての基盤となる夫婦仲の秘訣なのかもしれない。

 子育てに自分の趣味を掛け合わせるのも堀込流。もともと気ままな旅が趣味だったものの、育児に奮闘中のころは旅は夢のまた夢。そのかわりに赤ん坊をあやすために日課となっていた散歩では地図も持たずに当てもなく歩き、都内を満喫していたそう。育児=我慢、という固定概念があるとどうしても自分が無理をしてしまう。それを意識的に解消することが不可欠なようだ。

 そして、育児仲間であるママ友・パパ友との交流も、息がつまりやすい子育て期を乗り切る大切なポイント。とはいえ、堀込さんも日本にいる間はママ友との距離感がわからず、家の行き来をするほどの友だちができたのは渡米して日本人家族との交流が密になってからだという。堀込さんいわく、ママ友と付き合う時に大切なのは、行動も話題も「子どもにゆだねる」こと、男性は異分子であることを自覚し、なじめなくても「めげない」こと、そして周囲に誤解を与えないように「敬語をキープ!」することだそう。パパ友とは日常で出会うことが少ないので、SNSを駆使すると気軽で、なおかつ交流が深まりやすいのだとか。

 そして何より大事なのは、「正しい子育てなんてどこにもない」といい意味で開き直ること。「“うちの子、何をしても手におえないんです”って言いたくなる気持ちもわかるけど、本当は“手におえる”必要なんてまったくないのだ。大事なのは、どんな時もそばにいて、見守ってあげること。物理的にそばにいる必要はない。こころが、そばにいればいいのだ」というように、大きな愛で見守り、理想の子育てを追わない。イクメンに限らず、育児そのものを楽しむこと。それが一番大切なようだ。