大河ドラマ「八重の桜」、新島八重の写真が見たい!

テレビ

公開日:2013/2/5

 綾瀬はるかの熱演が光るNHK大河ドラマ『八重の桜』。主人公である新島八重は幕末から明治時代にかけて活躍した人物。会津戦争では銃を手にとって籠城戦を戦ったり、明治維新後は同志社を創立した新島 襄の妻となって夫とともに学校運営に奔走、晩年には茶道や医療の分野でも精力的に活動した。男尊女卑の考えが濃く残っていた時代にあって、女性とは思えぬほどの業績を残したその生き方は、「幕末のジャンヌ・ダルク」「元祖ハンサム・ウーマン」として後世に伝わっている。

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 と聞くと、いったいどんな外見だったのか気になるところ。彼女は江戸時代の生まれとはいえ、没年は昭和7年。すでに写真が渡来し、普及していった時代なので、実は資料写真がけっこう残っている。彼女に限らず幕末期の人物は、位の高い武士や皇族を中心に写真が残っている例も多い。そうした貴重な写真を集めた本が『カメラが撮らえた幕末三〇〇藩 藩主とお姫様』(新人物往来社)である。タイトルに沿えば、新島八重は厳密にいうと「お姫様」ではないが、実際には武家の「姫」だけではなく、皇族の「姫」たちや幕末の志士の妻や愛人、当時、人気だった芸妓の写真も所収されている。

 八重の写真は大河ドラマの影響で最近よく目にする1枚のほか、若き頃のものと思われる写真や、新島 襄と結婚直後と思われる写真も掲載。話通りのりりしい表情が印象的だ。

 もちろん、その他の「リアル・プリンセス」たちの写真を見るのも楽しい。美人揃いだった御三家のひとつ、紀伊徳川家の姫たち。大垣藩主・戸田氏共の妻となった岩倉具視の娘・極子、井上 馨の妻・武子、大山 巌の妻・捨松など後に「鹿鳴館の華」と呼ばれる美女たちの写真も新鮮だ。なかでも鹿鳴館どころか「ロンドン社交界の華」と呼ばれるほど聡明な美女として有名だった陸奥宗光の妻・亮子の写真は、その美しさにため息が出そうである。

 ちなみにこの本には同じシリーズとして『カメラが撮らえた明治・大正・昭和 皇族と華族』(新人物往来社)もある。こちらはタイトル通り、かつての皇家、名家の人々の写真を数多く所収。あまり歴史の表舞台に出てこない人々も多く、「こんな人もいたのか」と驚きを与えてくれる。ちょうど最初のクライマックスである会津戦争へ向い始めた『八重の桜』。この本を片手に幕末から明治維新へ進む大河ドラマを楽しむのもまた一興だろう。

文=長谷川一秀