古今東西のSF小説で打順を組むとどうなる?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/25

 3月に開催されるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で盛り上がりつつある昨今、その影でSF小説によるWBCもひそかに行われたことを知っていますか?

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 ダ・ヴィンチ電子ナビでは、「SF小説で打順を組もう」というテーマで、古今東西のSF小説をTwitterでつぶやきながら、それぞれの打順を決めていくというTwitter読書会を開催。期間中、参加者は各々が好きな作品について紹介し、タイムラインは往年の名作や近年の話題作などSF小説のタイトルで埋め尽くされました。

つぶやきの中でも目立っていたのは、やはり「アメリカSF打線」。3番『火星年代記』、4番『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、5番『タイタンの妖女』などといった、SF史に残る名作で打線を組む人が多く、WBC同様、アメリカSF小説の層の厚さをうかがわせました。それに対抗するように「イギリスSF打線」も盛り上がり、クリーンナップに『2001年宇宙の旅』 『銀河ヒッチハイク・ガイド』『宇宙戦争』などのパワーヒッターを推薦する声が集まりました。この2カ国の頂上対決はぜひとも見てみたいところ。

 一方、「日本SF打線」は、ややカオスな状況に。『虐殺器官』『ハーモニー』などで近年のSF小説界に衝撃を与えた伊藤計劃の作品を4番にしたいという声や、小松左京、新井素子、星 新一などの名作で手堅い打線をつくるべきだといった声に対し、時代性を考えてライトノベルを多用すべきだという参加者も多く、4番はハリウッド映画化されるという桜坂 洋の『All You Need is Kill』がふさわしいといった意見や、『涼宮ハルヒの憂鬱』『イリヤの空、UFOの夏』『銀河英雄伝説』『機動戦士ガンダムUC』などの人気作を組み合わせれば海外でも戦えそう、といった意見が飛び交いました。中には「筒井康隆の『日本以外全部沈没』だけで十分ではないか」といった過激なコメントも。

 もちろん、打線を決めるのは出身国だけではなく、1番『クトゥルフの呼び声』、2番『屋根裏部屋の影』、3番『狂気の山脈にて』といういかにもSAN値が下がりそうな打線で挑む「クトゥルフ神話打線」や、4番『ニューロマンサー』、5番『ヴィーナス・シティ』、6番『グリンプス』といった「サイバーパンク打線」など、実にマニアックな打順も読書会ではつぶやかれました。

 その他、「そもそもSFの定義とは何か?」「この作品をSFと呼んでもいいのか?」といったこのジャンルを語る上では欠かせない議論も活発に行われながらも、それぞれが思うSF小説を打順というかたちでジャンル分けしてもらうことで、それまでは気づかなかった作品の見どころや、未知の作品に出会うきっかけになったのかもしれません。

 あなたなら、SF小説でどんな打順をつくりますか?

文=ゆりいか
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)