SFは男性だけのものじゃない! 女性のためのSF少女コミック

マンガ

更新日:2013/2/12

 SFもの、と聞くと、設定の複雑さや難解さを思って、敬遠してしまう、という人も多いだろう。でも「もともと女の子には、不思議なものをやわらかい気持ちで受け入れられたり、妄想が得意だったり(笑)と、SFをおもしろがれる土壌がある。

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 『ダ・ヴィンチ』3月号の「30代女子のためのマンガ100」特集では、女性のためのSF少女コミックを紹介。マンガ研究者のヤマダトモコが、SF少女コミックの魅力を分析している。

――「少女マンガのSFとファンタジーとは切り分け難いんですが、不思議をどんどん受け入れていくうちに、いつのまにか現実の世界を相対的に見る目線がそなわってしまうような、“日常から続くセンス・オブ・ワンダーを描いて、世界の見方を変える”のが少女マンガのSFなのではと、ここでは解釈してみます。タイムスリップものは現代の目で歴史を見てみようということ。最近だと『大奥』は男女逆転したらどうなるか、とSFにすることで、世界の見方を転換させた」

 この解釈でいくと、近年、才能ある若手のマンガ家たちが、SFの分野に「本当に、本当にいっぱい出てきている」という。
「市川春子さん、西村ツチカさん、ふみふみこさん、安堂維子里さん……。彼女たち描き手の側に、80年代にはあった『SFを女の子向けにわかりやすくしてあげよう』みたいな気持ちはもはやない。さきほど話した“当たり前のもの”としてSFを読んできた世代の人が描き手になっているんですよね」

 この分野が、今これほど活気づいているのはなぜだろう。

「世の中が不安定だからなのかも。世の中を改変するための、新しい価値観や新しい『世界の見方』を、今みんな求めているのではないでしょうか」――取材・文=門倉紫麻

竹宮惠子や萩尾望都、ひかわきょうこや篠原千絵といったマンガ家が開拓してきた少女コミックにおけるSF史を解説しつつ、いま注目の、30代女子にオススメのSF作品を紹介している。

『ダ・ヴィンチ』3月号「30代女子のためのマンガ100」より)