進化する“縛りBL” 男が男を縛るときとは? 

BL

公開日:2013/2/12

 亀甲縛りのような本格的なものから、ネクタイやタオルでちょっと手首を縛るようなものまで、BLでもさまざまな“縛り”が登場する。そして、そんな縛りBLにはいくつかのタイプがあるのだ。

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まず1つは、主従関係を示すためにおしおきやSMプレイとして用いる場合。攻が力を誇示して、支配欲や独占欲を満たすため。同じように、受が支配される喜び。実際に縄で縛っちゃうくらい、精神的にも肉体的にも攻が執着して愛してくれているということを感じるために縛るもの。そのため、セックスをするときにお互いに縛ったり縛られたりすることで、より強い性的快感を得ることができる。いわば、セックスにおけるエッセンスのようなものだ。なかには、わたなべあじあの『ロープマン』(マガジン・マガジン)に登場するきーちゃんのように、縄無しではHできないなんてキャラも。

そしてもう1つは、『緊縛に愛して』(甲山恋子:著、北沢きょう:イラスト/フロンティアワークス)などに登場する縄師や緊縛師といった職業による縛り。こちらは、身体に縄が食い込んでいる様子や白い肌と縄のコントラストなど、見た目としての美しさのために縛りが出てくる。たしかに、それによって興奮したりもするのだが、どちらかというとエロというより芸術的な美しさがあるので、セックスの最中に縛るということはあまりない。

 しかし、1月29日に発売された『縄がなくても大丈夫』(SHOOWA/芳文社)では、少し違った形で縄が用いられている。それは、主人公の幾三が自分の感情を表現するために“縛る”というもの。無口で無表情な彼は、自分の思いをうまく人に伝えることができなかった。しかし、あるとき大好きな先輩の佐々木を見ていて、どうしても縛りたくなってしまうのだ。もともと縄師である父の影響で、人形を使っていろんな縛り方の練習をしていたのでその腕前はたしかだった。でも、「俺知らなかったんです せんぱいを縛ったりしたら自分がどうなるかって」と言っているように、佐々木を縛ったことで本当の自分の気持ちに気づくのだ。

 そして、幾三は、寝ている間に自分を抱きしめていたり、自分と付き合うようになってモテるようになったりした佐々木に対する嫉妬や照れ、怒りといった感情を“縛る”ことで表現するようになる。それまでは、笑うこともほとんどなくていつも1人でいたのに、縛ることによって徐々に自分の感情を表に出したり、周りの友達とも上手く付き合えるようになってくるのだ。ときには女子に告白された彼に嫉妬して、縄で縛って木に吊るしちゃったりすることもあるけど、彼なりの愛情表現と考えればかわいく見える。

 どうしてもうまく思いを伝えられない。そんなときは、幾三のように思い切って相手を縛ってみるといいかもしれない。そうすれば、今まで見えていなかった新たな自分の一面に気づけるかも?