NHKワンセグで人気! 心の名医・モタさんの「言葉の処方箋」が絵本に

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/25

 日々の仕事やプライベートの人間関係によるストレス…とかく疲れることが多い現代社会。そんな人たちに「効く」とジワジワ支持を広げているテレビ番組がある。それが『モタさんの“言葉”』(NHKワンセグ2/水曜午後9時55分~10時、再放送・土曜午前0時55分~1時)。

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「モタさん」とは、歌人・斎藤茂吉の長男で、「心の名医」として知られた精神科医の故・斎藤茂太(さいとう・しげた)氏。2006年に90歳で亡くなるまで『いい言葉は、いい人生をつくるーいつも私は「言葉の力」を味方にしてきた』(成美堂出版)、『会社、仕事、人間関係が「もうイヤだ!」と思ったとき読む本』(あさ出版)など、家族や心をテーマにした著作を数多く発表。「心にしみる」「勇気や元気が出る」と多くの人々の心を救った。

 『モタさんの“言葉”』は、そんなモタさんが生前に残した言葉を、絵本の読み聞かせ形式で伝える。わずか5分の短い番組だが疲れないちょうどいいボリューム。新進の絵本作家・松本春野によるやさしい絵も内容にピッタリで、見終わった後には心のささくれがとれたような、ほどよい脱力感を得られる。

 実際、反響も少なくなく、もともとNHKワンセグ2の番組としてスタートしたが好評のため、現在はEテレでも再放送中(土曜午後8時50分~8時55分)。昨年12月22日には番組をまとめた書籍『モタさんの“言葉”』(講談社)も発売された。
 
 絵本の読み聞かせスタイルの番組だけに、絵本では実際に放送された絵と文をほぼそのまま再現。まさに「大人の絵本」的な1冊になっている。「相手をほめると自分も元気に…」「現状を変えるのは愛情だ」「早めに休むことだね」などなど、取り上げられる言葉は、どれも心の悩みを抱える人たちにとって生き方のヒントになったり、気がラクになりそうなものばかり。

 自分の心が崩れる前に、八つ当たりなど他人への攻撃に走ってしまう前に。もし自分が心が疲れていると感じたら、手にとって開いてみるといいかもしれない。

文=長谷川一秀