“りぼんっ子”だった30代女子必読の、ときめき少女マンガ

マンガ

公開日:2013/2/17

 アラサー、アラフォーの女性を描く大人女子マンガは、主人公の等身大の姿が支持を集めるが、少女マンガ黄金期にまさに少女時代を過ごした30代女子は、それだけでは満足しない。彼女たちの不朽のバイブルといえば『ガラスの仮面』(美内すずえ)や『はいからさんが通る』(大和和紀)、『いつもポケットにショパン』(くらもちふさこ)といった少女の夢と恋を描いた作品。『ダ・ヴィンチ』3月号では、そんな名作少女マンガから “ときめき”のDNAを受け継いだ、シチュエーションの光る胸キュンコミックを紹介している。

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 ――少女マンガのナンバーワンときめきシチュエーション。それは、『はいからさんが通る』の紅緒や『ガラスの仮面』のマヤのように、主人公が自立した生き方を貫き、その必死な健気さによって、素敵な男性との一途な恋も経験する、というものだろう。ポイントは2つ。女性が憧れる美しい女性像とピュアな愛だ。

 ピュアな愛の遺伝子を受け継いだ大注目作が、『きょうは会社休みます。』(藤村真理)だ。地味で真面目が取り柄のOLの花笑。彼女のかわいさを、田之倉だけが見つけてくれた。33歳にして初めての恋愛。胸キュンとしかいえない。谷川史子も、ピュアを描いたら右に出るものはいない。『忘れられない』など数々の名作で、人を想う優しさと切なさを、読者の心に染み入るように自然に表現する。女性の生き方に重点を置いた秀作が、『繕い裁つ人』(池辺 葵)だ。職人・市江の姿は、凛として静謐。藤井という理解者もいる。

 美しい女性像とピュアな愛は、女性の強さと弱さ、その両義性の象徴でもある。多くの経験を積んだ30代女子は、必然的に強さを獲得している。しかし同時に、ものすごく弱い。花笑は処女の自分にひどくクヨクヨし、市江は服作りのあり方に迷いを感じている。

 田之倉と藤井は、この弱さを理解してくれる。強さも弱さもひっくるめて、あなたはそのままでいい、と言ってくれている。おそらくこれは、全30代女子が言ってほしい言葉ではないか。――(構成・文=松井美緒)

 また、最強キーワードといえば「幼馴染み」。『星の瞳のシルエット』(柊 あおい)や『月の夜 星の朝』(本田恵子)で、幼い恋の永遠に胸を高鳴らせ憧れた30代女子は少なくないはず。鉄板の「運命の出会い」マンガといえば、『天使なんかじゃない』(矢沢あい)や『ときめきトゥナイト』(池野恋)。じれったいほどすれ違う恋の行方や、運命に翻弄されながらも絆を深めていく恋、一途に想い続けてくれるクールで無骨な男子たちは、少女マンガのはずせないときめき要素。一方で『BANANA FISH』(吉田秋生)や『赤ちゃんと僕』(羅川真里茂)などに代表される、「健気な男子」も乙女心と母性本能をくすぐってくれる。特集では、これらの作品が好きだった女性必読の、ときめきの系譜につらなる現代の名作少女マンガを紹介。自分だけの、とっておきの1冊を見つけられるはずだ。

(『ダ・ヴィンチ』3月号「30代女子のためのマンガ100」より)