脱がすか脱がされるか!? 謎の職業「脱衣士」とは?

マンガ

公開日:2013/2/27

 もしも、女の子の服を思う存分脱がすことができる儀式があったら、あなたならどうしますか? お互いの服を脱がし合うなんてなんだか野球拳みたいなものを想像してしまうかもしれないが、2月20日に発売された『脱衣伝』(大谷 久/小学館)で行われる「古来より日本で執り行われてきた神秘の儀式」、通称“脱衣の儀”は、じゃんけんの勝敗なんかで服を脱がし合うようなお遊びとは違う。どんな武器や技を使ってもいいから、とにかく相手の服を先にすべて脱がせたほうが勝ち。服を脱がすこと自体がすでに戦いなのだ。そんな“脱衣の儀”に参加できるのは、脱衣士と呼ばれる人たちだけ。

 この本は、そんな脱衣士の家系に生まれた男子高校生・古織木綿が、パートナーであり彼らの勝負服である“天衣”を作ってくれるお針子巫女でもある天縫ミシンとともに400年ぶりに開催されることとなった“脱衣の儀”で勝ち上がっていくというバトルモノになっている。

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 そもそも、この脱衣士とは何なのか。さきほど述べたように、脱衣の儀に出ることができるのはこの脱衣士だけで、彼らはそこで頂点を極めることで神々の加護を受けることができる。しかも、彼らの後援者にあたる人たちに奇跡をもたらす存在でもあると言うのだ。そして、この脱衣士。「穢れを知らぬ身であること」。つまり、童貞、処女であることが第一条件なのだ。ということは、戦う相手もみんな童貞と処女。ときには男の服を脱がさなきゃならないこともあるし、決闘に負ければ自分が全裸にされることもあるが、「脱衣士の家系は女系がほとんどだ」なんて話を聞いたら黙ってはいられないだろう。つまり脱衣士の多くは女の子なので、脱衣の儀に出れば処女の女の子の服を脱がし放題、裸見放題ということ。もしも自分が脱衣士の家系だったら、ほぼすべての男子が即答で引き受けただろう。

 しかし、そんな魅力的な儀式に出るためには数々の過酷な試練が待ち受けていた。まず、細部まできっちりと再現した女体人形を1日に100体も粘土でつくり、そのあとはその人形にブラジャーとパンツをつけて1体につき1秒で脱がす練習。さらには脱がすだけでなく、逆にブラジャーとパンツを素早くつけていく訓練。天井からぶら下げられた女体人形を、目隠しをした状態でよける練習を乗り越え、やっと脱衣士の必殺技とも呼べる“脱衣四十八手”の型の習得に入ることができる。

 そうして習得した技をもって、脱衣の儀に出場した木綿。平安時代の公家が来ていた狩衣をアレンジしてミシンが作った決戦用の天衣に身を包み、決闘の場へ向かう木綿だったが、ライバルも強敵だらけ。使う武器はハサミにカッター、投擲用のかんざしに天衣を溶かす薔薇から電撃を流せるリボンまで、なんでもアリ! とにかく相手を全裸にしたほうが勝ちという極めて危険な儀式だったのだ。

 それでも、メイド喫茶のカリスマ店員からスーツ姿のOL、レオタードに漆黒のエナメルボンテージ、バニーガールなどいろんな天衣に身を包んだ処女の女の子たちを思いっきり脱がすことができるのだ。こんなに心躍る決闘なんてそうそうない。何の取り柄もなかった木綿だが、会場に集まった3万人もの観客からあがる喜びと賛美の声を聞けば自然とやる気も出る。脱がすか脱がされるかの単純な決闘だが、それゆえ観客も一緒になって熱くなれるのだ。

 本当にこんな儀式が国儀として行われることなんて、今までもこれからもないのかもしれない。でも、もしも小さい頃にスカートめくりが得意だったという人がいたら、あなたは立派な脱衣士後継者なのかも?