ご当地キャラ、イケメン政治家、江戸の性愛…大人も夢中になれる図鑑に要注目!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/25

 「図鑑」というと、中年以上の世代にとっては動物や植物などの写真や図と詳細な解説が順序良く、折り目正しく並んでいる重厚なイメージを抱くかもしれない。しかし、最近はわかりやすさに工夫を凝らしたものも見られるようになっている。

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 たとえば小学館の『子ども図鑑プレNEO』シリーズは、「空はなぜ青いのか?」といった大人でも説明が難しいような日常のごく普通の事象について写真と図によってわかりやすく紹介した『楽しく遊ぶ学ぶ ふしぎの図鑑』(白數哲久/小学館)をはじめとして、丈夫な体づくりや運動能力を高めるための原理や練習方法を紹介する『楽しく遊ぶ学ぶ げんきの図鑑』(中村 裕/小学館)など、生活に密接した分類にすることで馴染みやすさを引き出している。2月22日に発売された『楽しく遊ぶ学ぶ くふうの図鑑』(鎌田和宏/小学館)では、「時計がなくても日の高さで時刻はわかる」といった生活の知恵や有事のときに役立つような知識とその活用方法がまとめられている。

 ほかにも、遺伝子上同じグループとされる最古の種から現在までに現れた幾多の動物たちのなかから特徴的なものを数種ピックアップし、その起源から現代にいたるまで種の進化の過程がわかるようカラーイラストで紹介した『ならべてくらべる動物進化図鑑』(川崎悟司/ブックマン社)や、日常生活で使われる言葉について、イラストとそれに対応する日本語、英語、ポルトガル語、スペイン語の4カ国語を一挙に並べて紹介している『言葉図鑑』シリーズ(五味太郎/偕成社)といった図鑑は、大人が読んでも一度ページを開いたら目が離せなくなりそうだ。

 そんなツボを狙うかのごとく、近年では明らかに大人向けの図鑑が多数刊行されている。ここ最近で発売されたものの中では、『全国ご当地キャラ大図鑑』(「全国ご当地キャラ大図鑑」制作委員会/宝島社)、『イケメン政治家名鑑』(イケメン政治家発掘隊/廣済堂出版)、『江戸の性愛図鑑』(徳間書店)あたりが目についた。

 『全国ご当地キャラ大図鑑』は、すでに有名となった「くまもん」や「ひこにゃん」をはじめとする全国のマスコットキャラクターを可能な限り集めて地区別にカラーでまとめたもの。この種の図鑑としては、「ゆるきゃら」と名付け親と言われる漫画家・エッセイストのみうらじゅんが手がけた『ゆるキャラ大図鑑』(扶桑社)が2004年に刊行されており、歯に衣着せぬ独特な語りのエッセイも魅力ではあったが、その後のブームによりキャラの数は激増傾向にあり、『全国ご当地キャラ大図鑑』はその最新情報を把握するにはうってつけだ。

 また、『イケメン政治家名鑑』は、昨年11月の時点で現職の衆参両議院や地方議員の中から厳選された36名のイケメンが登場。本格的な撮り下ろしの写真数点に、生年月日や学歴、趣味といった詳細なスペック、政治家になるまでの詳細な経緯を紹介する記事やプライベート写真など、限りなくタレント本に近い仕様となっている。しかし、その作りがいたって生真面目なせいか、あまり嫌味になっていないから不思議だ。これまで政治に興味のなかった人も、このような本から入っていくのもアリだろう。

 そして、極めつけが『江戸の性愛図鑑』。江戸時代の性や風俗に関する事情を紹介するとともに、男女それぞれの“必殺性技”が春画を盛り込んだかたちで男女別に多数紹介されている。「大人が読んでも面白い」を突き詰めていけば、結局この手のものに行き着くのが自然の摂理? あるいは浪漫なのかもしれない。

文=キビタキビオ