“ずぶとい男”はいくつになっても女性にモテる!

人間関係

公開日:2013/3/3

 人に気を使いすぎて疲れてしまったり、人間関係でくよくよ思い悩んだり、将来に不安を感じていたりしていると、とかく心は内向きになりがち。一概に悪いことだとは言えないけれど、細かく物事を考えすぎたり、人目を気にしすぎる感受性が無駄にストレスを増やしてしまっていたりする。特に20代30代は社会での立ち位置がまだ微妙なポジションにあり、賢く立ち回ろうとすればするほど、思い切った行動がとれなくなりがちだ。それに比べ、60代70代の人の方がよほどエネルギッシュに見えることも多い。世代特有のものだろうか。豪放磊落で心が真っ直ぐな印象なのだ。彼らの生き方にあって、私たちに欠けているもの。それはある種の“ずぶとさ”なのかもしれない。

 そこでテキストにしたいのが『ずぶとい生き方』(川北義則/ダイヤモンド社)だ。著書の川北氏は2度のガンを克服し、77歳にして執筆・講演活動を続け、その著書は100冊を超える。本書のテーマとなる“ずぶとさ”とは「ずうずうしい」「無神経」といったものとは少々異なる。ずぶとく生きるには、けっこう神経も使うのだと著者は言う。ただし、できるだけ不平不満は口にしない。言い出せばきりがないからだ。そんなことに心をとらわれるよりも、プラス思考でどんな場面でも楽しみを見つけ、マイペースで人生をエンジョイしようとする。だから、人間関係にも気を使わない。語弊を恐れずに著者は言う。「気を使うより、使わせる。相手が誰であっても気を使いすぎるのは考えものだ」と。そこで孤立することがあっても恐れないことが、ずぶとい生き方なのだ。

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 胃ガン、すい臓ガンと2度のガンを患ったときも、著書はふさぎ込んだりしなかったそうだ。若いときから「人間、死ぬときは死ぬ」という思いがあり、開き直れたのだろう。しかし、そこで弱気にならなかったことがガン克服の秘訣でもあったらしい。「病は気から」とよく言われるが、やはり神経質になりすぎるより、ずぶとく構えた方が健康にもよさそうだ。

 年をとると血糖値やコレステロールを気にして野菜中心の食生活に変えたりするものだけれど、著者はあくまで好物の肉中心。精力的に多くの人と会う機会を設け、食事代は気前よくおごる。浪費はしないが、出すときは出すのだ。お金は使ってこそ生きるというのが、ずぶといお金の使い方だ。好奇心や人間関係にお金を投資したいから、死ぬまで仕事をすることに決めているそうだ。ぞうしたずぶとい男はいくつになっても女性にモテるらしい。男としては、ちょっと見習いたいところだ。

 だけど、食生活やお金の使い方だけ真似ても「ずぶとい生き方」とは言えないだろう。やはり、気持ちのあり方が大切。77歳にして仕事も遊びも生涯現役という豪快な著者だが、出版プロデューサーという仕事や原稿執筆は、何かと神経を使う。ときには滅入ってしまうこともあるそうだ。そんなとき著者は自分の脳が湿気って「ジメジメしている」と感じるそうだ。そんな心の黄信号が点滅したら、部屋を明るくして温かくする。それでもダメなら近場の温泉など温かくて広々したところへ小旅行にでかける。悩みは人間につきものだ。ただし、どうせ悩むなら「明・暖・広」の三拍子そろった場所で悩むべし、なのである。こうして自分の心をコントロールすることを「悩みに負けそうになったら、脳味噌を乾かす」と著者は言う。悩むにしてもずぶとい悩み方があるのだ。

 即座に自分の生き方を変えるのは難しいし、変える必要もないのかもしれないけれど、悩みや不安を解消するヒントが本書には満載だ。ずぶとくヒントを頂戴しよう。

文=大寺 明
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)