乙武洋匡が選ぶ 今の自分を作った「座右の書」ベスト5
更新日:2013/7/19
乙武さんが3年間の教員経験をもとに執筆した小説『だいじょうぶ3組』。さらに自身が初出演した映画がいよいよ公開間近! いつもツイッターで幅広い考えやユーモアあふれるコメントで楽しませてくれる乙武さんに、「座右の書」を選んでもらったラコ!
乙武洋匡・自身の経験を綴った『五体不満足』が500万部を超す大ベストセラーに。大学卒業後はスポーツライターや絵本を手がける。杉並区の小学校で小学教諭として勤務後、現在はメディアを通して教育現場で得た経験を発信していく活動を柱としている
- 1位
- 「時間」を描いた児童文学の名作!
- 著者名:ミヒャエル・エンデ
- 発売元 : 岩波書店
- 価格:864円
この作品が僕の創作の原点だと思っています。小学5年生のときに読んだのですが、ハラハラドキドキしながら楽しんで、読み終えたときには強くメッセージを受け取っていた。ストレートに伝えると説教くさく感じてしまうことを、ファンタジーという形を借りて伝える方法をこの作品で知ったんだと思うんです。『五体不満足』を書くときも、説教じみた本にはしたくなかった。娯楽作品として読めるようにしたほうがメッセージは伝わると考えたんです。それはモモの影響だと思うんですよね。
- 2位
- バッグパッカーを多数輩出したひとり旅のバイブル
- 著者名:沢木耕太郎
- 発売元 : 新潮社
- 価格:464円
僕はひとり旅をすることが物理的に難しいんです。大学生のとき『深夜特急』を読んで強烈にひとり旅に憧れ、繰り返し読み、疑似体験しました。学生時代にしておくべきことは何かとよく聞かれるのですが、「海外へのひとり旅」と答えています。この世界にはいろんな人や文化があることを、身をもって体験することが本当に大事だと思っています。日本が当たり前じゃないと知ることが生きていく力になると思う。どんな仕事でも、多様な考えや価値観の人に出会うしね。それは深夜特急から学んだことです。
- 3位
- ユダの独白で構成された、短編小説『駆け込み訴え』
- 著者名:太宰治
- 発売元 : 筑摩書房
- 価格:1,026円
太宰の小説で一番好きな作品です。弟子のユダが、キリストのことを密告にいく聖書のシーンをユダの独白だけで綴った物語なのですが、なぜ裏切ったのか、彼の心情がすごくリアルに描かれている。世間のイメージと正反対って思われがちですが、僕は振り幅を広く持つのは大切だと思っています。メディアに登場する乙武洋匡は前向きなメッセージを発信するひとで、僕という個人では後ろ向きの時間もたぶん必要。太宰の作品がそれの拠り所になっているんですよね。
- 4位
- 名言連発の青春野球漫画
- 著者名:森田まさのり
- 発売元 : 集英社
- 価格:670円
大好きな野球と、今メインで取り組んでいる教育が組み合わさった、漫画の中で一番ハマった作品です。僕は教育漫画だと思っているんです。「だいじょうぶ3組」が、これまでの有名な学園ものと違うのは、教師がスーパーマンでないということ。僕は、教師だって人間だし、失敗もすれば知らないこともある、完璧じゃないし弱さもある、それでもぶつかっていくことが大事だという思いで書きました。ルーキーズの川藤と似ています。未熟だし教育手法も稚拙だけど、まっすぐ向き合うことで子供たちの心をひらいていく。教師だった僕が共感した作品かな。
- 5位
- 野球ファンなら納得!?
- 著者名:
- 発売元 : ベースボール・マガジン社
- 価格:480円
実はこれこそが座右の書かも。つねに手元にあります。小学1年生の時から買っていて、毎年たまっていくのが快感になっているから、もうコレクションですよね。シーズンが始まる前に熟読して、この選手はこのシーズン活躍するんじゃないかなって予測を立てたりしています。スポーツライターを7年間やったことで、思い入れの選手の動向は気になりますが、特定のチームの勝敗とかは気にならなくなりましたね。今はJリーグの選手名鑑も毎年買ってます(笑)
「自分の幅を広げていきたい」と常に思っているんです。そういう意味で、今の活動の原点である『モモ』からプライベートで好きな野球名鑑まで、僕という人間を形作っているあらゆる要素から5冊を選びました。今は教育関連の新書を読むことが多いかな。小説とか他のジャンルももっと読みたいなと思うんですけどね。
乙武さん、ありがとラコ〜! 異なる意見も、大きな器で受け止めてくれる乙武さんの思考が垣間見える選書だったラコ! 他にもこんなテーマのランキングが知りたい!というのがあったら @bookrako までよろしくラコ!