ツンデレ、ヤンデレ、クーデレ…そして話題の“キリデレ”とは!?

マンガ

公開日:2013/3/4

 ツンデレ、ヤンデレ、クーデレ……世の中に数多ある「デレ」の形。あなたはいくつわかりますか? 普段はツンツンしてるのに好きな人と2人きりになるとデレッとする、ツンデレ。「病んでる」+「デレ」で好意(デレ)が高じて精神的に病んでしまっている、ヤンデレ。一見クールだけど親しくなるとデレデレの、クーデレ。そして、そんななか新たなキラ星として輝きを放っている「デレ」をご存知だろうか。そう、それが「キリデレ」。普段や他人の前では凛々しくキリッとしているが、ふたりきりになると、とたんにデレてくる人を指す言葉らしい。

 もっと具体的に言えば、まじめで、仕事や勉強など熱心。そして感情的ではなく理知的。また、無口や無愛想ではないが、フレンドリーな雰囲気ではないという、生徒会長とか社長秘書などがもっていそうな、ある種近寄りがたい雰囲気を想像していただければ良いと思う。そんな人が、自分の前ではデレデレになるのだ。いかがだろうか、このギャップ。どんな人でもイチコロになってしまいそう、いや、イチコロになってしまうに違いない。

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 どうやら、このキリデレという言葉が世に出てきたのは2009年ごろのことらしく『ドリームクラブ』(ディースリー・パブリッシャー)というゲームに登場する、ショートカットが特徴の明朗快活、ボーイッシュなボクっ娘「ナオ」によって、広まっていったという。

 さてそんな、ニッチな世界で話題沸騰中のキリデレを堪能できるマンガがある。それが『ひとつ屋根の下の』(藤こよみ/双葉社)だ。

 「大人になったら一緒に暮らそう――」幼いときに、幼なじみの女の子とそう約束した、主人公の久太。彼は、その女の子が在籍しているという、共学になったばかりの元女子高に入学する。だが、幼なじみの女の子、梨々子を見つけるものの、彼女は久太を「知らない」と言い放つ。元女子高でハーレム展開かと思いきや、女子中からは目の敵にされ、梨々子には冷たくあしらわれる。前途多難な久太の青春。しかし、彼はめげることなく、梨々子に自分の存在を猛アピールするのだが……。

 ヒロインである梨々子が、典型的なキリデレ。彼女は、久太が入ることになる寮の寮長として、人をまとめる存在で、ルールを破れば注意し、大勢の人の前でも物怖じすることなく話し、がんばった人には最高の笑顔で褒める。もう凛々しさの塊のような人物で「キリッ」という言葉がこれほど似合う人もいないと思ってしまうほど。しかし、その実態は、泣き虫で、照れ屋で、ウブで、久太のことが大好きな女の子なのだ。とある事情により、「知らない」と言い放ったり、ときには規律を守らせるために厳しく接したりするなどして、久太に冷たくあたっていた彼女だが、久太がその事情を知ることになると、豹変。いや、覚醒といったほうが正しいかもしれない。優しく微笑み、顔を真っ赤にして照れ、そしてよく泣く。普段の表情からは、とても想像できないような顔を見せてくれる。でも、他人の前では、厳しい寮長として接してくるという、萌え度という数値があれば100をゆうに超しそうな萌えっぷりを発揮してくるのである。

 しかも、久太への愛が半端じゃなく大きく、久太との仲を認めてもらうためなら、土下座までする。女子高生の土下座が見られるなんて、それだけでも、手に入れる価値があると思うのだが、いかがだろうか。

 「キリデレ」という悶絶必至の萌えが詰まったこの1冊。さあ、この本を開き、ともに新たな世界を開拓していこうではないか(キリッ)。