県民性マンガに恋愛ものが登場! モテ度No.1あの県民の恋愛の特徴

マンガ

公開日:2013/3/17

 都道府県を擬人化した大人気シリーズ『県民性マンガ うちのトコでは』(もぐら/飛鳥新社)。他県から見たステレオタイプの県民性を強調しているが、「他県には嫁にやらねぇ!」と言われるほど日本一気立てのいい群馬の女性や「決して押しが強いわけではないが、何だかんだ言って自分の好きなようにやる」福井県民のように、少なからずその県民性がモテや恋愛に関係していることも。なかでも、日本三大美人のひとつ、博多美人のいる福岡県民は、社交的で愛想が良くサービス精神旺盛。男性も九州男児らしい男らしさがあるし、博多弁の人気もあって全国的に見ても男女ともにモテるのだ。

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 そんな大人気の福岡を舞台に、福岡の県民性までバッチリ反映した恋愛マンガ『まるふく片想い』(夏芽ミカン/白泉社)が2月20日に発売された。この本は、幼なじみの海と直。学級委員長の白石と産休中の担任の代理で来た染谷先生。バスケ部の先輩・奈々と後輩の光。同じ予備校の池内と凪。陸上部の部長と新入部員の芽衣子。クラスメートの信也と吉乃という6組の男女の恋愛模様を描いたオムニバス作品になっている。

 まず、九州男児らしくいまどき珍しいくらい硬派で男らしい男の子たちが目を引く。『県民性マンガ うちのトコでは』によると、重い荷物を運んでいる時は「女の子なんだから無理すんな」と言われるより、「貸せ。」「ん。」と強引に奪われたほうがキュンとくるという福岡女子。だからこの本にも、同じように不器用で女の子に好かれるために振舞うことなんてできないような九州男児がたくさん登場する。

 予備校に通う池内は告白してきた相手に「この受験の時期にそんな浮ついたこと考える余裕1ミリもなかけん」とバッサリ。また、みんなに「鬼」と呼ばれる陸上部の部長は、自分に彼女がいるとわかっていて告白してきた女子に「…俺には大事にしとる奴がいてそいつを裏切ることはできん…ごめん」と答える。どちらも、相手を傷つけないために取り繕う余裕などないが、不器用ながらも誠実に答えようとしてくれるのだ。

 それに、クラスでいつも騒いでいる信也なんて、吉乃のことが気になっているくせに優しくできなくて、いつも彼女の読んでいる本をバカにしてちょっかいだしたりしている。デートの約束だって「せっかくだから誘ってやる」なんて上から目線で「24日10時博多駅――逃げんなよぜったい来いよ」と強引に決めてしまう。告白した時だって、「ほら来い!」と命令口調で両手を広げ、駆け寄ってきた吉乃を抱きしめるのだ。まさに、福岡女子好みのちょっぴり強引な九州男児。こんなことされたら、落ちない女の子はいないのでは?

 でも、やっぱり一番の魅力はヒロインの女の子たち。『県民性マンガ うちのトコでは』でも姐さんとして描かれる福岡の女子は、とても面倒見がいい。小学生の頃転校してきた直に「私たちと一緒に遊ぼうや!」と声をかけ、手を引いてあげていた海。白石も、転勤で引っ越してきたばかりと言う染谷先生に町を案内してあげる。彼女たちは、親戚のおばちゃん並みに困っている人がいたら放っておけない性分なのだ。

 おまけに負けず嫌いなので、奈々のように何度負けても光にバスケの勝負を挑み続けるし、芽衣子のように自分のことを全く女の子扱いしてくれない相手を振り向かせるために頑張ったりもする。でも、たとえ負けてもフラれても決してウジウジ泣いたりはしない。一度は振られた凪だって「同じ大学に受かったら池内くんが好きだってもう一度伝えに行ってもいいですか」と前向きに頑張るし、芽衣子のように相手に負けないくらい「とびっきりの素敵な恋をしてやる」と思える強さも持ち合わせている。九州の男が唯一恐れるものと言われる九州の女。その強さは伊達じゃないのだ。そんな魅力的な女の子の恋を見ていると、ついつい応援したくなる。

 また、福岡のマリンワールドや太宰府天満宮、門司港といった場所をめぐるので、自分もそのデートスポットに行った気分にさせてくれる。地元民はもちろん、それ以外の人でも具体的な場所をイメージできるので、物語をより深く楽しむことができる。

 これからは、こんなふうに県民性にスポットを当てたご当地恋愛マンガの時代が来るのかも?