空前のブームでネコマンガがこんなすごいことに!?
公開日:2013/3/19
ネコマンガといえば、大人気シリーズ『くるねこ』(くるねこ大和/エンターブレイン)や『猫なんかよんでもこない。』(杉作/実業之日本社)、ネコと相性バッチリの町・谷中を舞台にした『やにゃかさんぽ』(わかつきめぐみ/白泉社)など、飼いネコの日常を描いたものからのらネコと他のネコや人との交流を描いたものまでさまざま。その自由気ままな行動や、普段は触られるのも嫌がるくせにエサをもらうときや構って欲しいときに寄ってきては甘えるツンデレなところ。ふとした仕草に、ネコ好きはもうメロメロなのだ。そんなふうに根強い人気を誇っているネコマンガだが、最近ではそんなネコマンガブームがとんでもない方向に行きすぎて、不思議なネコたちが登場しているよう。
まず、見た目は普通なのに、「生き物が突然しゃべりだし知能も人間並みになる」という“しゃべり病”にかかったネコ・ツブが登場するのは、2月28日に発売された『おかゆネコ』(吉田戦車/小学館)。このツブのすごいところは、ただしゃべれることだけじゃない。なんと爪を器用に使ってタラの小骨を取ったり、包丁や箸を上手に使っていろいろなお粥を作ることができるのだ。猫舌のネコがアツアツのおかゆを作るなんて、なんだか変な感じもするが、ツブはその能力を生かし、30代独身の営業マン・八郎の乱れきった生活を直すためにいろんなお粥を作ってくれる。おかゆと聞くとなんだか味気ない病人食を思い浮かべるかもしれないが、ツブの作るおかゆは一味違う。体重を落としてスタミナをつけるために「レバニラのおかゆ」を作ったり、肉が食べられないライオン和尚さんのために切って茹でた魚肉ソーセージを入れた「魚肉ソーセージのおかゆ」を作る。さらに、刻んで煮たワカメに味をつけ、ゼラチンで固めた「ワカメゼリーのせ冷やしがゆ」にすりつぶした枝豆を混ぜた「ずんだおかゆ」といった不思議なメニューまで。でも、風邪をひいた時や酔っ払って家に帰ったとき、こんなネコがいてくれたらどんなに幸せなことか。
でも、変なネコが登場するのはこれだけじゃない。さらに、食べ物を作るだけじゃなく、ネコ自身が食べ物になっちゃった『どーにゃつ』(コザキユースケ/スクウェア・エニックス)なんて本まであるのだ。
舞台となるのはなぜか人々が忽然と姿を消してしまい、荒れ果ててもぬけの殻になってしまった20XX年の新宿。そこには、チョコのたっぷりかかったドーナツ型のどーにゃつやベーグルの形をしたベーガル。知識豊富でパソコンも自在に操って情報収集するバームクーヘン型のバームクーガーにロールケーキの形のちょっぴりわがままな女の子・ローニャなど、なんだか美味しそうなネコたちがいーっぱい登場する。他にも、マカロンの形をしたクマのクマカロンにコロッケやメンチカツの形の犬、コロッケンにメンチワワなんてものまで。しかも、彼らはアンパンマンの顔のように、体をちぎって分け与えることもできちゃうのだ。さらに、「強力な自己修復機能」が備わっているらしく、寝ているあいだに元通りの体に。ジャムおじさんもびっくりな謎の生き物なのだ。でも、ボーリングやサッカーなど、玉遊びをしている姿や屋根の上で日向ぼっこしている姿なんかはやっぱりネコっぽい。
こんなふうに、ネコのかわいらしさを残したままアレンジを加えることで、ネコマンガとしてだけでなくおかゆのレシピ本やSF作品としても楽しめる。ネコマンガが溢れかえってきたせいで、もはや単にネコを主人公にして彼らの日常や心の声を描くような作品では満足できない人が多くなってきたのかもしれない。これからも変わったネコたちがどんどん登場してくるだろうが、ネコマンガブームは一体どんな方向へ進んでいくのか? 今後も目が離せない。