人間はドッグフードを食べられる? この極貧めしがヤバい!

マンガ

更新日:2013/3/27

 今日食べるものもない。財布の中がほぼ空っぽの状態で、何週間も生き延びなければならない。そうなったら、あなたはどうする?

 3月15日に発売された『ごはん食べたい!―なんでもしますから?―』の主人公で、親からの仕送りが途絶え、バイト先も潰れてしまった陽山晴斗と自称貧乏神で常に空腹と戦っている少女・夜野小雨。さらに妖精女王の末裔と名乗るクラスメート鈴木・T・鈴音の3人は、なんとお腹いっぱいごはんを食べるために何でも屋を始める。もちろん、「料金は食べ物でも可」。

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 彼らがどれだけ貧乏かというと、晴斗は昼休みの校庭で食堂沿いにある自動販売機の辺をうろうろし、人通りのなくなる一瞬を狙って自動販売機の下をまさぐる。おまけに、家では電気代がもったいないからと電気もつけず、冷凍したパンの耳をそのままかじるほど。また、住んでいるお屋敷は立派だけど、親が夜逃げしたせいで家の中は空っぽ。「お茶くらいは出せますわ」と言って持ってきたのは明らかにお湯という見た目にはわかりにくいけどかなり貧乏な鈴音。小雨にいたっては、晴斗と初めて会ったときには1週間もごはんを食べておらず、飢え死にしかかっていたのだ。

 そんな3人が集まって何でも屋をやると言うのだから、本当に何でもやるのだろう。しかし、クラスメートのなくしものを探したり、街の人のお願いで掃除をしたりなんてまっとうな依頼はこない。そもそも、依頼に来るのが全裸で犬耳・しっぽをつけた美人お姉さんかと思いきや、人間に化けられる犬だというレベッカや「鋭い牙で人や動物を襲って吸血する」と言われる未確認生物・チュパカブラだと名乗る太郎など、変な人ばかり。それでも、報酬のお金や食料をゲットするため、飼い主が服を着せるのでやめさせて欲しいという依頼や自分を狙うハンターを追い払って欲しいというお願いを全力で叶えてあげるのだ。

 しかし、依頼者が報酬として持ってきた“食料”は、犬用の缶詰や腕一抱えもある山菜。もちろん、犬用の缶詰だっておいしくいただくのが彼らの流儀。小雨は「貴重なタンパク質ですっ!」と言いながら食べまくり、あまりにもおいしそうに食べる小雨につられ、他の2人も犬用の缶詰を「これ以上取りようのない」くらいきれいに食べ尽くす。また、「タダでおやつが食べられる場所を知ってるんです」と言う小雨に連れられて行った先には、大通り沿いに咲いたツツジの茂みが。鈴音も「わたくし、これは大好物ですわ」と大喜びするのだ。高校生が花の蜜を一心不乱に吸い続ける……この飽食の時代にあって、なんとも慎ましくほほえましいシーンではないか。

 「空腹は最大のスパイス」なんて言葉があるが、ひとりで食べても美味しくない。それよりも、笑いながらみんなと食べればたとえ犬用の缶詰やツツジの蜜だって美味しく感じるはず。これを読めば、あなたも誰かとごはんが食べたくなるかも?