タニタを超える!? “病院食レシピ”が大ブーム

食・料理

更新日:2013/4/1

 病院食といえば、「おいしくない」というイメージを持っている人が多いのではないだろうか。彩りに乏しく、水で薄めたような平板な味つけ……おかげで食欲がわかなかったという経験をした人も少なくないはずだ。しかし、この病院食が、タニタ食堂をはじめとした企業コラボレシピに続くブームとして、レシピ本の世界でいま大人気となっていることをご存じだろうか。

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 まず、現在売れに売れているのが、国立循環器病研究センターのレシピを掲載した『国循の美味しい! かるしおレシピ』(セブン&アイ出版)だ。病院食が嫌われてきた理由のひとつである「塩分控えめで物足りない」という意見に対して、国循が追求したのは「少ない塩分だからこそ、美味しい」料理。だし汁を活用して素材のうまみを最大限に引き出したり、塩を振るのではなく調味液に混ぜたり絡めたりと発想を変えて、塩分を最小限に抑えたレシピを考案している。さらに、目分量だとどうしても塩分過多になりがちだが、これを避けるために0.1mlまで量ることができる「かるしお(軽塩)スプーン」セットを同封。この1冊で徹底した塩分管理ができるのだ。

 一方、負けず劣らず人気なのが、『聖路加国際病院の愛情健康レシピ』(聖路加国際病院/永岡書店)。こちらでは実際に病院で提供されている病院食から厳選した30献立のレシピを紹介されており、なかには、ユーリンチーやプルコギといった高カロリーそうなメニューも。胸肉や赤身を使用し、定食スタイルでも560カロリー以下を実現している。また、101歳にしていまなお現役医師である当院の理事長・日野原重明が巻頭インタビューに登場。「100歳まで動けるからだをつくる」という本のサブタイトルに説得力を与えている。

 さらに、驚かされるのは、『レストランより美味しいごはんを目指す きよせの森総合病院の極上健康レシピ』(土屋忠保/ソフトバンククリエイティブ)だ。本書には、魚の切り身を花に見立てた「鮭とすずきのカーネーション風照り焼き御膳」や、ヘルシーなベーグルとギリシャのグラタンであるムサカを合わせた「アボガドシュリンプサンドセット」など、タイトル通り、まるでレストランや料亭の一品かと見紛うような料理の数々が並ぶ。

 このほかにも、愛媛大学医学部附属病院の『ホテルシェフと大学病院の管理栄養士が考えた おいしくやせる480kcalのレシピ』(横山雅好、檜垣實男/PHP研究所)や、『日本一おいしい病院ごはんを目指す! せんぽ東京高輪病院 500kcal台のけんこう定食』(足立香代子/ワニブックス)、『亀田総合病院の「血圧が高め」の人のためのおしいい減塩レシピ』(亀田総合病院栄養管理室/PHP研究所)など、病院食を活かしたレシピ本が続々と出版されている。健康を考えたメニューならば、病院食はじつに最適なモデルケース。カロリーを押さえたい人や体調が気になる人はもちろん、食にこだわりがある人にとっては、入院する病院を決める際の参考としても使えるかもしれない。