赤ちゃんを育児放棄!? パンダの子育てが怖すぎる!

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更新日:2013/4/3

  昨年7月、日本中が落胆のため息をもらした、上野動物園のパンダ・シンシンの、生まれて間もない赤ちゃんパンダ死亡のニュース。そのシンシンが、先月はじめに発情期を迎え、中旬には「交尾行動が確認された」と発表された。きっと「今度こそは!」と期待を寄せている人も多いかと思うが、じつはパンダは赤ちゃんが生まれてからも困難がたくさん。というのも、お母さんパンダは「育児放棄」することが多いのだ。

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 動物行動学の研究者・竹内久美子の新刊『本当は怖い動物の子育て』(新潮社)によると、パンダの場合、双子を産む確率は45パーセントくらい。しかし、「お母さんパンダは元々2頭とも育てる気がない」そうで、「手厚く世話をしたり、乳をあげたりするのは大きくて元気のよい方だけ」。小さい方は、「地面に置かれたまま冷たくなって死んでしまうか、ときには巨大な母親の下敷きになったりして」命を落としてしまうのだ。

 じつは、生まれてきた小さいパンダは、大きいパンダの“スペア”でしかなく、母親にも2頭を育てるだけの乳が出ないのだとか。そのため、飼育員は母親が1頭の面倒を見ているあいだにもう1頭を人間の手で世話をし、「頃あいを見て2頭をすりかえながら、お母さんの母乳をどちらにも飲ませて育てる」のだという。こうしたすりかえは自力で母親の乳首に辿り着けるようになる生後2~3ヵ月頃まで続けられるとのことだが、初めて2頭が同時にお腹の上に乗っかると、「母親はキョトンとしてしまう」らしい。だが、そのあとは2頭の世話を焼きはじめるというから、ここまでくれば一安心できそうだ。

 しかし、パンダの育児放棄はまだまだかわいいもの。もっと恐ろしいのが、スズメによく似た鳥・オオジュリンの子育てだ。鳥の世界では、「オスもメスも浮気に超熱心」。よって、オスにとって巣の中の子どもたちには、我が子じゃない子も多くいることに。オオジュリンのオスは、この“身に覚えのない子”を推測し、「いかにムダな投資を控えるかを追求している」というのだ。一体どうやって? と疑問に思う人も多いだろう。しかし、その方法はとてもシンプル。「卵の受精の確率が高い時期に、彼女が自分に隠れてどれほど秘密の行動をとっていたか」という情報を記憶しているのだ。さながら、彼女のケータイを逐一チェックするような神経質さである。

 このほかにも、さまざまな動物や魚の子育てを紹介した本書。動物園に行く前に一読すれば、動物たちのただかわいいだけじゃない裏の顔を知ることができるので、さらに楽しめるはず。ともかく、次は無事にシンシンの赤ちゃんを見られることを祈りたいものだ。