蠅の王 感想 読みたガール365 「大山貴華」 2013/04/13

更新日:2013/4/30

撮影:山本哲也

オススメの一冊
蠅の王

蠅の王
ウィリアム・ゴールディング / 新潮社

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★読みたガールのオススメポイント
人間の中に潜む闇と残酷な部分を鋭く突いた衝撃の作品でした。

最初は真っ白で無垢だった少年達が無人島で生活していくうちに、物語を読んでいくうちにどんどん心の奥に潜んでいたドス黒くダークな獣性を晒していく姿は、思わず昔に起こった少年犯罪や恐ろしい事件を思い出してしまいました。
この物語は無人島に不時着した少年達の冒険活劇といったようなワクワクドキドキするような作品ではなく、少年達を通してどんな人間にも必ずある心に潜む邪悪でダークな部分を作者のゴールディングがリアルに生々しく描いている作品であり、決して綺麗事では終わらない内容にすごく夢中になって読んでしまいました。

もしもこの『蠅の王』がただの少年達の冒険物語だったらこんなに惹かれて読むことはなかったかもしれません。時代設定も近未来の大戦中のさなかという不安定な時代だったというのも、より少年達の中にある邪悪な闇の部分をよりリアルに描いているようでした。

無人島に不時着した最初の頃は少年達もうまくやっていたけれど、無人島での生活が徐々に少年達の心の闇を広げていく引き金になっていったのを手にとるように感じ、環境によって人間はこんなにも変わってしまうのか…という意味でもショッキングな作品かもしれません。個人的にはサイモンの【蠅の王】への心の葛藤、そして死が衝撃的でした。

まだまだ感想は山ほどありますが、まずは手にとって読んでいただいたほうが一番良いかと思います。
『蠅の王』は一度は読むべき必見の作品です。

プロフィール紹介
名前:
大山貴華
生年月日:
1984/10/9
出身地:
東京都
職業:
女優業
趣味:
アニメ、マンガを見ること、美術館めぐり、妖怪研究
ブログ:
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