米倉涼子はまだ甘い!? 64歳の女子高生が実在した!

マンガ

更新日:2013/4/15

 米倉涼子が女子高生役を演じる『35歳の高校生』(日本テレビ)が、ついに今夜からスタートする。物語は、17歳の高校3年生のクラスに、米倉扮する35歳の謎に包まれた主人公が編入生として登場し、スクールカーストをはじめ、現代の学校が抱える問題に立ち向かっていく……という異色の学園ドラマだ。放送開始に先駆けて披露された米倉の制服姿には、「正直イケる」「無理がある」と賛否真っ2つに分かれたが、これだけでも話題性は十分のようだ。

 が、しかし。現実には米倉をはるかに超える衝撃的な女子高生がいた。流行語にも選ばれた“干物女”でおなじみのマンガ『ホタルノヒカリ』(講談社)の著者・ひうらさとるの実母は、なんと64歳にして女子高生になってしまったのだ。

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 その母・チヨさんの女子高生ライフを描いた作品が、『女子高生チヨ(64)』(講談社)。突然、「あたし 今年の4月から高校行こ思うねん」と宣言したというチヨさんは、「21世紀になった。20世紀にやり残したことを始めよう」という思いから、4年制の夜間高校に入学。15歳の新入生に紛れて、体育の授業ではスク水にブルマで参加するという“スーパーおばあちゃん女子校生”になってしまうのだ。

 もちろん、学校生活には友だちづくりがつきもの。見知らぬ人にもツッコミを入れる典型的な“大阪のおかん”であるチヨさんは、「今日体育テニスやで!」などと挨拶運動を展開して、授業についていけてなさそうな子には「半ばムリヤリ」ノートを差し出し、ひとりぼっちの子には積極的に声をかけたそう。というのも、チヨさんも15歳の中学生のときは「ボケーとしてた」。中学を卒業し、勤めた会社で周りの大人たちに可愛がってもらったことで「やっと自信をもてたんやろなー」という思いがあったのだ。だからこそ、“昔ヤル気のなかった大人の同級生”として、クラスメイトたちにやってあげられることはないかと考えていたのだ。そんなチヨさんのがんばりは実を結び、少しずつ15歳の友だちを得ていく。そのせいか、64歳の女子校生は電車に乗っても「制服の着崩し方と化粧の慣れ具合」で瞬時に1年生か3年生かを見分けられるように。これには、娘のひうらも「チヨ…げ 現役!! 現役の目をしとる……!?」と驚嘆するほど。

 また、授業ひとつとっても、「…ワカラン! ワカランからおもろいなぁ!」と、勉強のおもしろさに開眼。そして、「21世紀のやわらか頭の子供たち」であるクラスメイトとともに勉強する、その楽しさにも目覚めていくのだ。

 チヨさんの活躍ぶりを読んでいて痛感させられるのは、世代を超えた交流が生み出す力だ。同級生である若者たちは、チヨさんという友だちができたことで「大人」という一括りにして見ていた人たちを「当たり前やけど みんなそれぞれ“生きて”はるんやな」と感じるようになる。チヨさんも「今まで自分が全然知らなかった世界を、若い人たちがどんどん広げていってくれてる」と感じていく。“64歳が同級生”という多様性の世界では、もはやカーストも生まれようがないのだ。

 高齢化社会と呼ばれる、現代の日本。かたや、いじめや体罰といった根深い問題が学校では噴出しているが、この両者を組み合わせたとき、何か新しい可能性が開けるのかも……本書からはそんな希望さえ見えてくる。ドラマでは米倉がどのように閉塞的な学校社会に風穴を空けていくのか。こちらも見物だ。