「あと少し早く始めていれば…」不妊治療の運命を決めるものとは!?

出産・子育て

更新日:2014/4/28

 厚生労働省が、不妊治療助成金の対象年齢に上限を定めることなどを含めた制度改正の検討を始めたことが、先日明らかになった。不妊治療は保険がきかず高額な医療費がかかるため、現在は国と自治体が2分の1ずつ負担し、1回最大15万円が補助されている。同省研究班では対象年齢を39歳以下にする報告書をまとめ、今後それをもとに制度改正が検討される。

 だが、そもそも不妊治療に助成金が支給されていることを知らない人も少なくない。不妊治療を経た芸能人の高齢出産は報道されていても、実際に自分の身に降りかからなければ「不妊治療」は何から始めるのか、そもそも「不妊」の定義すら知らない人も多いのでは?

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 特に20代~30代の女性にとっては、近年問題視されている「卵子の老化」という不穏な言葉を耳にしても、「今は産む時期じゃないし」「いつかちゃんと考えよう」と問題を先送りしがち。子どもを作るタイミングじゃなくても、いざ妊娠しようと思った時のために事前の知識を知っておくことはとても大事なことだ。

 そんな時におすすめなのが、『不妊治療外来の「気になるコト」がマンガでわかる本』(杉山里英、花津ハナヨ/青春出版社)。書名の通り、まったく知識のない人でもわかる、不妊の基本を解説した本だ。

 例えば、今すぐ治療が必要か見極める不妊検査。これも実は女性の生理周期の関係上、すべての検査をするのに1カ月以上かかる。周期によって受ける検査が異なるため、何度も病院に通わなくてはいけない。働く女性にとっては時間的な制約もある。この本にはそんな初歩的なことから、すべて記されているのだ。

 不妊治療カップルの最大のハードル「男性側の検査」についても、具体的な事例が書かれている。男性不妊を詳細に調べるためには精液検査が必要になる。しかし、恥ずかしさや男のプライドが邪魔して検査を拒絶する男性が多い。その場合は、まずはフーナー検査(性交後検査)で大まかな男性側の検査が可能。まずはフーナー検査を足がかりにし、男性に協力してもらうように説得するなど、状況に合わせて治療を進める。

 ほかにも一般的には知られていない人工授精と体外受精の違いや、どのように不妊治療をステップアップしていけばいいのかなど、聞きたくても聞けない不妊治療の現状がつづられている。

 著者の杉山医師によると、40歳を目前に病院に駆け込む人は多いとのこと。しかし、40歳になると自然妊娠率も5%と低く、出産時のリスクも高い。「不妊治療の現場では、“年齢”という壁にぶち当たって、乗り越えられないことがしばしば」「あと少し早く不妊治療を始めていたら、いい結果が出たかもしれないのにと思うことがよくあるのです」。不妊治療の成功率を高めてくれるのは、早めの判断と選択。いまは「子どもはまだ…」と思っている女性も早めに情報を得て、能動的な選択肢を残しておく。それが一番大切なことなのかもしれない。