ダサくてもOK? AKB、中居正広…私服スナップ本が人気の理由

芸能

更新日:2013/5/7

 街を歩くオシャレな人を撮り下ろす「ファッションスナップ」は、着こなし方からトレンドまでが一目でわかるとあって、むかしからファッション雑誌の目玉企画だった。が、いまはそれがさらに進化しているのをご存じだろうか。いま、流行しているのは、タレントの私服スナップ本。5月1日には総選挙を目前に控えたAKBグループによる『AKB48,SKE48,NMB48,HKT48 おしゃれ総選挙! 私服選抜のセンターは誰?』(マガジンハウス)という本まで発売されたのだ。しかし、なぜタレントの私服スナップが人気を集めているのか……その謎に迫ってみよう。

 まず、タレントの私服本より前に出版界を賑わせたのは、“人気モデルたちのプライベートブック”だ。私服はもちろん、自宅のインテリアから気に入りのコスメ、料理と、ライフスタイル全般を語るという内容で、いまも高い人気を誇っている。そんななかから、すべてを私服に費やした本が登場。たとえば、30~40代の女性から支持を得ている梨花による『I Love Rinka Style』(宝島社)や、紗栄子の『Saeko Snap!』(宝島社)などがそうだ。定番の着回しコーディネート紹介やおすすめのショップ紹介なども挟まれるものの、ほぼ私服だけで1冊を構成できてしまうことに驚いてしまうが、このことで読者はより強い憧れを抱くのかもしれない。

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 しかし、それとはまったく異なるベクトルで話題を呼んだのが、「私服がダサい」ともっぱらの評判だったSMAP中居正広による『私服だらけの中居正広 増刊号~輝いて~』(扶桑社)だ。意外とイケてるものから、やっぱり何かがおかしいスタイリングまでごちゃまぜの内容だが、ひとつひとつのカットに「これ誰!? これ! これ全体どこに売ってんの!? by さまぁ~ず三村」といったように芸人たちからのツッコミコメントを掲載。その面白さも手伝ってか、ファンのあいだでは「ますます中居くんが好きになった」「ダサ格好いい!」と評判に。現在はパート3まで発売されており、累計で120万部を突破する勢いだ。

 私服を公開することで、より親しみを持ってもらおう……中居の成功例も手伝ったのか、ついに発売されたのが前出のAKBグループの私服スナップ本だ。ファンからは「ファッションリーダーというより奇抜ファッション」とも言われる篠田麻里子が虎の顔が全面に打ち出されたKENZOのトレーナーを堂々と着こなしていたり、渡辺麻友がイメージを裏切らないロリ全開のフリフリワンピを披露するなどは予想通りとしても、男子ウケの良さそうなミニ+ゆるふわ感たっぷりの私服が目立つという点では“プライベートでもアイドルを崩さない”彼女たちの意識が透けて見えてくる。もちろん、なかにはオシャレとは言いがたい中居的ファッションのメンバーも散見されるが、それはこの本の本題では決してない。センスがたとえ悪くても、ここではそれも推したいと思わせる“動機”になるのだ。

 ブログやSNSの普及で、いまや私服を公開することは“ファンとの重要なコミュニケーション”のひとつ。裏返せば、タレントやアイドルたちの私服スナップには、もはやセンスではなくエンタテインメント性が問われているのかもしれない。