横浜で開催された本を贈り合うイベントに潜入レポート!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 「サン・ジョルディの日」を知っているだろうか?
スペイン発祥の記念日である4月23日は、伝統的に男女が本と赤いバラを贈りあう日だ。実は日本でも4月23日は「子ども読書の日」でもあり、読書習慣を広げるための日として浸透しているのである。

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  そんな4月23日、横浜三井ビルディングにて、一般社団法人SoLaBo主催のワークショップ『本を贈る文化をつくろう~素敵な本の贈り物は、私たちをおしゃべりにしてくれる~』が開催された。 

 このイベントは、先述の「サン・ジョルディの日」を記念したもので、日常の中でも本を贈りあう文化を広げていくことを目的としたものだ。今回は本を贈り合うワークショップとは一体どういうものなのかを調べるため、実際に参加しての取材を行った。

 当日、会場には複数の机が無造作に並べられ、3,4人でひとつのグループをつくるかたちで座ることになった。机の上には、便箋カードとペン、そしてこの日のためにそれぞれが持ち寄った書籍だ。そう、今回のイベント、事前に誰かに贈りたい書籍を持ち寄ってくるようにと言われていたのである。
 グループ内それぞれで自己紹介しながら今回持ち寄った本を紹介し合うところから、ワークショップは始まった。本をどんな人に、どのような時に読んで欲しいのかを想像しながら紹介するというもので、個人的な思い入れやその本の魅力などをお互いに語り合いながら、場は和やかなムードで進行していった。
 そこから話し合われたことを元に、便箋カードに本の紹介文を書き、グループを越えてそれぞれの参加者たちと交流しながら、紹介文などを見ていった。持ち寄った本は実に様々。村上春樹の『風の歌を聴け』といった小説から、『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』という絵本、『おつまみ一行レシピ』といった実用書まで実に様々な書籍が、届けたい人へ向けたメッセージと共に紹介されており、和気藹々と参加者どうしで意見を交換し合う場面が見られた。

 なぜ、本を紹介するイベントを開催したのか?
今回のスタッフの方に企画趣旨についてお話をいただいたところ、かつて日本でも「サン・ジョルディの日」を流行らせようとした時期があったのだという。しかし、本を贈り合うということ自体がどうしてもハードルが高く、意見の押し付けに思われることもあるため、なかなか根付かなかったのだそうだ。そこで、カードに紹介文を書いて意見を交換するというかたちにすることで、少しでもハードルを下げて、本を贈り合うという意識を根付かせていくことが今回の目的なのだそうだ。

 実際に参加していた女子大生の一人にお話を伺ったところ、「普段はゼミなどで本の研究などをしていますが、こうして本を知らない方と紹介し合うという試みは始めてでした。こういった気軽なイベントであればぜひまた参加したいと思いました」とのこと。

 今回のようなカードを添えて本を贈りあうという試みは、自分の気持ちを伝える方法を探るきっかけにもなるし、相手の気持ちを考える機会にもなるかもしれない。これから、こうしたイベントがどのような変遷をたどっていくのかに注目していきたいところだ。