小林幸子もびっくり! の史上最も◯◯◯なラスボスとは!?

マンガ

更新日:2013/5/9

 4月27日と28日に行われた「ニコニコ超会議2」に“ラスボス”として登場した小林幸子。ラスボスとはゲームなどでこれを倒せばエンディングになるというまさに最後に登場する敵だが、彼女が毎年年末には紅白歌合戦に出場し、ド派手な衣装を着てバトルを繰り広げることからニコニコユーザーの間でそう呼ばれているようだ。

 紅白歌合戦の衣装の凄さからラスボスという呼び名が定着したように、やはりラスボスと言えば見た目も巨大で、なおかつ恐ろしい強敵をイメージするだろう。しかし、5月1日に2巻が発売された『うちのクラスの頼りないラスボス』(望公太:著、鈍色玄:イラスト/ホビージャパン)にはおよそラスボスらしくない少女が登場するのだ。舞台となる私立黒宝学園では、生徒の個性や資質によってキャラクターが与えられる。そこでラスボスのキャラクターを与えられたのが塔ヶ崎夜子だ。

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 ラスボスといえば、先述の通り、やはり巨大で恐ろしい敵を思い浮かべるもの。が、夜子の見た目は全く恐ろしくない。それどころか、かなり小柄でかわいらしいのだ。彼女は常にブレザーの下にピンクのパーカーを着こみ、フードを鼻にかかるくらいまですっぽりかぶっているのだが、そのフードにはかわいらしいウサ耳がついている。しかも、そのフードをとるとぱっちりとした大きな瞳を持つ途方もなくかわいらしい少女の素顔が現れるのだ。彼女が常にフードで顔を隠しているのは、人と目が合うと緊張して上手くしゃべれなくなるほどシャイだからで、フードを脱がすと「や、やめて、やめてよぉ……」と言いながら視線はあちこち泳ぎまくるし全身をわたわたと震わせたりする。こんなかわいらしい反応をする女の子がラスボスだと言われても、いまいちピンとこないはず。

 また、ラスボスは最後に待ち構えている敵なのだから、強力な必殺技があったりなかなか倒せないほど手ごわい相手であることが当たり前。しかし、彼女には必殺技どころか人に勝てる特技さえないのだ。「“主人公”達を全員倒すつもり」「私は――この世界を浄化したいの」なんて言うことだけは一丁前なのに、とにかく小者感がハンパない。そもそも、“主人公”を倒したいのもラスボスとしての使命ではなく「なんかムカつくから」だし、具体的な方法は何も考えていないから何を聞かれても「えっとぉ」と答えるのでバカっぽく聞こえる。「私の負けはまずないわ」とか「とっておきの秘策があるのよ」と強気発言を繰り返すが、その秘策が上手くいったためしはない。それに、運動が苦手で少し走っただけでも吐き気を催すし、お嬢様なので料理を作ったこともない。人ごみが苦手で購買や学食にも近づけないし、顔に出やすいのでギャンブルも向いていない。せっかく夜子が倒したいと言っている“主人公”のひとり、桜神雛の弱点がカエルだとわかっても、自分はカエルどころか、蛇やトカゲ、クモなど「女子が嫌いそうなものはひと通りアウト」で、見るだけで失神しそうになるレベル。こんな夜子がラスボスとして最後に待ち受けていたら、楽勝すぎて拍子抜けしてしまう。

 さらに、ラスボスといえば周りから恐れられる存在であるはず。なのに、夜子はむしろ敵である雛や主人公で“脇役”のキャラクターを持つ少年・高橋涼希が思わず手を差し伸べたくなるほどかわいそうに見られている。卵料理で対決するときは、雛の用意した卵をすべて食べるのだが、そのせいで自分が気持ち悪くなって棄権しそうになっていた。これでは雛や涼希も責められない。また、雛のクラスとビーチバレーで対決することになって練習していたときも、空振りばかりで5回目くらいには「……この、クソボールがっ!」とぶちギレ。あげくのはてには、対戦相手である雛に指導してもらうことに。ポーカー勝負にいたっては、ボロ負けどころかその勝負を見ていた先輩に「きみ、才能あると思うよ」と誘われた裏カジノで見事にカモられる。「お前って本当チャンスに弱いな」と言うと「はっ。ナメないで頂戴。私はピンチにだって弱いわよ」となぜか偉そうに答えるし、ことあるごとに雛につっかかっては自滅に近いかたちでほぼ全敗。さらに、友達がいないので休み時間は狸寝入りでやり過ごすが、寝たフリも下手なので周りにも気を遣われている。彼女が誰にも“ラスボス”だと知られずにいたのは誰にも話しかけられなかったからだし、敵である雛に初めて声をかけられたときも「う、う、ううう、う、うんっ」とテンパりまくって大変だった。おまけに、相手にされないとすぐしょげる寂しがりやなヤツなのだ。

 倒しがいはないかもしれないが、こんなラスボスがいてもおもしろい。友達になってもいいし、まっすぐな彼女だからからかって遊ぶのも楽しい。逆に、彼女をラスボスらしく育て上げていくなんてこともできるかも。あなたなら、こんなラスボスとどう接してみたい?