ダイエットから飛行機まで! 話題沸騰のミドリムシはここがスゴい!

科学

更新日:2013/5/10

 現在、ダイエットに使える万能サプリや飛行機の燃料としても使えることから夢の素材として話題になっているミドリムシ。そんなミドリムシの凄さがわかるマンガが、4月30日に発売された。それが、ミドリムシや微生物を擬人化した『ミドリムシは植物ですか? 虫ですか?』(羽鳥まりえ/エンターブレイン)だ。

 主人公の研究者・松江留架は、ミドリムシの研究に全てを捧げる人物。そもそもミドリムシは藻の一種で、別名である「ユーグレナ」はラテン語で「美しい(eu)+目(glena)」という意味をもっている。そして、留架がミドリムシに向かって「ユーグレナ王子」と呼びかけたことで突然現れたのが、赤い目をした全裸の青年。自称ユーグレナ王子のレナだ。そんなレナの活躍から、ミドリムシの凄さを見ていこう。

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 まず、レナの凄さが発揮されるのは酸素を必要とするとき。ミドリムシは動物のように自由に動き回ることができるが、植物のように光合成もする不思議な生き物。レナも光合成で酸素を作ることができるので、彼がいるだけで留架は「空気がきれいになって気持ちいいな」と感じる。レナ自身も天気がいい日には「あー…酸素を放出したいCO2をO2に変えて更に自分の糧としたい」なんてうっとりしながら外を眺めているのだ。さらに、壊れたCO2ルームに入って閉じ込められてしまった留架のために、CO2ルームにいるすべてのミドリムシに声をかけて「超光合成」で酸素を作り出し、留架を助けるレナ。おまけにCO2の濃度もわかるので、急激にCO2が増える火事なんかもすぐさま察知することができる。

 また、59種類もの栄養素を持ったミドリムシは、現在クッキーやカンパン、ラーメンにハンバーガーといった食品にも取り入れられている。そして、留架の助手である安川が留架とケンカして落ち込んでいたときも「人間がネガティブになる原因の多くは酸素の欠乏そして栄養バランスの悪さ!!」と言って、いきなり「ポジティヴ栄養素スプラッシュ!!」を彼にくらわせるのだ。これによってビタミンや葉酸といった栄養素を吸収した安川は、きちんと留架と仲直りすることができた。偏った食生活まで改善できるミドリムシは、まさに万能薬なのかも。

 さらに、学会の直前に留架のカバンが盗まれたときも「捜し物には人海戦術でしょ!!」と言って何十人ものレナに分裂する「ハイパーセル・ディビジョン×∞!!」で犯人を見つけ出す。ミドリムシは単細胞生物なので、細胞分裂によって増殖するのだ。彼の細胞分裂のおかげで、留架は見事に学会の発表をやり遂げる。実際、ミドリムシはだいたい1日1回分裂するので1週間では64個にまで増える。この繁殖力のおかげで、燃料や栄養源としての注目が高まっている。

 他にも、どんな高温や低温、紫外線や高圧など、「地球上ではありえないような過酷な条件」においても、乾燥した「クリプトビオシス」状態なら耐えられるというクマムシを擬人化したゴスロリ少女のくまこも登場する。普段はほぼ無表情で、クマムシの研究をしている勅使河原にくっついてまわったり、膝の上にちょこんと座っているようなかわいらしい少女。しかし、研究所が火事になったときは「地球上現象レベルでわたしに傷をつけたいならばビッグ・バンから出直してくることね」と言いながら、勅使河原を守ってくれるのだ。また、ミドリムシはクマムシやミジンコなど、多くの微生物の栄養源となるので、お腹がすいているときにくまこがレナに会うと目を光らせて飛びかかるという恐ろしい一面も。

 こんなふうに、かわいらしいレナやくまこを見ているとなんだかだんだん微生物に興味がわいてくる。今まではたかが微生物と思っていたかもしれないが、彼らのもつ可能性や凄さを知ればもう目が離せない。みなさんもこの機会に、その凄さを実感してみては?