アベノミクスに要注意! バブル時代の貧乏人の扱いがヒドすぎる!

社会

更新日:2013/5/17

 好景気を夢見て、最近では猫も杓子もアベノミクス万歳の大合唱。なかには「バブル期レベルの好景気となるか」と期待をかける人もいるよう。

 バブルを知らない世代にとっては、「クリスマスには大学生が高級ホテルのスイートルームでパーティ」「赤坂・六本木界隈では万札を振りかざさないとタクシーが拾えない」といった“バブル伝説”を聞かされると、「そんな好景気を一度は経験してみたい」と思うこともあるかもしれない。しかし、好景気とはそんなに甘いものではないようだ。

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 バブル期にベストセラーとなった『金魂巻 現代人気職業三十一の金持ビンボー人の表層と力と構造』(渡辺和博、タラコプロダクション/主婦の友社)は、金持ちを「マル金」、ビンボー人を「マルビ」と呼び、人々をマル金とマルビの2つに分けて比較した1冊。このマル金・マルビという言葉は大流行して、栄えある第1回新語・流行語大賞の金賞を受賞したほどだ。格差是正が叫ばれる現在では「脳天気にもほどがある!」と思ってしまうような仕分けの仕方だが、その中身はさらに壮絶。世にも恐ろしい“好景気の裏側”を垣間見ることができる。

 たとえば「主婦」の場合、一流名門幼稚園に子どもを送り迎えする主婦でさえマル金とマルビに分類される。「一流幼稚園に通ってるんだから、みんな金持ちじゃん」と考えたあなた、それは2010年代的思考なのだ。最上級のマル金は、BMWやアウディ、ベンツなどの高級車で“おかかえの運転手が運転し、子供だけがリアシートに乗ってくる”。一方、国産車はマルビに分類されるが、コロナやブルーバードなら「マルビ上組」、カローラやファミリアでは「マルビ下組」となる。さらに、マルビ主婦は「アイテムの少なさをコーディネートでカバー」するものの、“冬になるとコートの数の違いでマル金かマルビかがすぐにバレてしまう”そう。ここでは自分に似合う物を選ぶセンスは問われない。エルメスやルイヴィトンを普段着にできているか否かなのだ。気張ってシャネルスーツを着ると、それはもうビンボーの証しである。

 さらに、「お父さん」の分類の仕方も凄まじい。マル金は世田谷生まれで、父親の会社を継ぎ、大学卒業後にはすぐに取締役に就任。夏休みは南軽井沢やロスのディズニーランドで過ごし、子どもの誕生日はニューオータニで北京ダックに舌鼓を打つ。帰宅が遅くなる日は、家族に土産として六本木の高級和食店で鯛飯を買って帰る……と、いかにもなお金持ち像である。

 そして、気になるマルビはというと、山口県の島に生まれ、東京の缶詰工場に就職。子どもとの休暇には、津田沼の叔父から借りたホンダシティで千葉のディズニーランドへ行き、誕生日はデニーズでステーキ。夜の土産は駅前で買ってくる焼き鳥だ。金持ちとは言いがたいかもしれないが、実に普通の、家族思いのお父さんではないか。
 普通の暮らしさえ「ビンボー」と呼ばれてしまう、拝金主義的な格差社会。アベノミクスによって好景気が訪れたとき、日本は再びこのような価値観の社会に戻ってしまうのか? それだけは勘弁願いたいものだ。