代役成功で株急上昇! 宮沢りえのようにピンチをチャンスに変える方法

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更新日:2013/5/23

 軽度の心筋梗塞で舞台を降板した天海祐希に代わって、代役を見事に務め上げた宮沢りえ。ワイドショーをはじめ、ネット上でも賛美の声が溢れ、「これで宮沢りえの女優としての評価は不動のものになったのでは」とさえ言われている。

 普段から地道に仕事をコツコツするよりも、ピンチを上手に切り抜けたほうが評価が上がる。これは芸能界に限らず、ビジネスの現場でもよくあること。では、ピンチのときに“使ってもらえる”人物になるにはどうすればいいのか。

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 そのヒントが、ある本に隠されていた。川藤幸三が書いた『代打人生論~ピンチで必要とされる生き方~』(扶桑社)だ。そう、阪神タイガースに在籍し、「代打の鬼」と呼ばれたあの川藤である。現役時代の安打数は211本。この数字はイチローの1シーズン分くらい。それでも「選手寿命の平均が7~8年」といわれる厳しいプロ野球界で19年間も現役を務めた“異能”の人なのだ。

 本書によれば、川藤は入団直後から技術や運動神経、体力にセンスと「どれをとってもプロとしては足りないものばかり」だと痛感していた。そこで、「どうすれば生き残れるか」というプランを立てたという。そのひとつが「アピール」すること。たとえば、出番がありそうな展開がやってきたときは「ベンチの周りをちょろちょろ動く」。そして監督の視界に入る位置で体操し、「何でもいけまっせえ!」と無言で主張したというのだ。姑息な手だと思う人もいるかもしれないが、試合に使ってもらえる実力があればアピールする必要などない。でも、誰もがその力を持っているわけではない。天才でないのなら、活躍の場は自ら掴みに行くこと。これが重要なのだ。このとき大切なのは「自分の仕事に対して直接の決定権を持っているのは誰か」を把握すること。実際、川藤の「監督の前で体操」作戦は効果てき面だったようで、その年、見事に最低年俸保証の出場数を獲得することができたそうだ。

 また、川藤は当初、守備要員として見られていたが、「走攻守」の“走”と“守”では評価されにくいと感じて「発想の転換」を行う。「打つ」ことこそが自分の生きる道だと勝手に決め、練習で「走れ」と言われても「ワシ、足悪いんですわ」と返事し、「守れ」と言われても「肩、痛いんですわ」と返してバットを持った。こうなると、練習中に首脳陣が目にするのは川藤がバットを振る姿だけ。よって消去法で代打でしか使われなくなったというのだ。

 もちろん、もっとも重要なのはピンチの局面で結果を残すこと。川藤にとってそれは入団から10年目、甲子園で行われた巨人戦で訪れた。延長12回裏、ツーアウト走者1塁2塁という大チャンスに、代打として送り出されたのだ。気合いは当然入るが、「あっという間に2ストライク」。「もうイチかバチかや!」とバットを振ったところ、それが「たまたま」レフト線に落ちてサヨナラツーベースになった。川藤が「そこで人生が変わったんや」と振り返るように、あきらめずに努力し続ければ、チャンスはやってくるのだ。

 川藤が野球人生で残した記録は、はっきり言って目立つものではない。しかし、いまも阪神ファンたちから「浪速の春団治」と呼ばれ親しまれているのは、記録以上に“記憶”に残る選手だったからこそ。社内評価の一発逆転を目指す人は、ぜひこの川藤メソッドを参考にしてみてほしい。