梅ジャム、チョコバット、紋次郎いか…懐かしの駄菓子はまだ買える?

生活

更新日:2013/5/27

 先日、駄菓子の「ポテトスナック」が6月末で販売が終了するというニュースが伝えられ、ネット上に激震が走った。一緒にチョコ菓子の「ムギムギ」もなくなるということも相まって、「残念すぎる」の声が殺到。「昭和も遠くなりにけり……」とつぶやきたくなる事件だった。

 だが、泣くのはまだ早い。昭和の味を守る駄菓子が、いまも数多く販売されているからだ。そんな「まだ食べられる!」駄菓子を、『改訂版 まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ~駄菓子編~』(初見健一/大空出版)から紹介しよう。

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 歴史の古いものでいえば、多くの人に馴染みが深いであろう「元祖 梅ジャム」も、まだ買うことができる一品。発売年はなんと1947年、ソースせんべいに塗って食べた人も、「袋の角をピチッとちぎって、ただチュウチュウと」吸った人もいるはず。この梅ジャムは、製造元の梅の花本舗の代表が16歳のときに開発したそうで、戦後の紙芝居には欠かせない駄菓子の定番となったのだ。そもそも駄菓子屋さんの起源は、紙芝居文化が衰退した時期に、「高齢者の間に子ども相手のささやかな店を開く“お小遣い稼ぎ”が流行」したことだそう。梅ジャムは、そんな時代の流れのなかで生き残った貴重な駄菓子なのだ。

 懐かしさでいえば、煙草のようなケースに入ったスティック状のお菓子「ココアシガレット」も郷愁を誘う。昭和っ子は、これを口にくわえては「スパ~」と煙を吐く大人の真似をしたもの。このほかにも、森永や不二家などからも「シガレットチョコレート」は販売されていたが、「80年代以降、“嫌煙”観念の定着により」この類いのお菓子は全滅してしまったそうで、オリオン社製の「ココアシガレット」は唯一の生き残りなんだとか。ちなみに、形状がよく似たものでは、色とりどりの細いビニールチューブに白くて甘い何かが詰まっている「セブンネオン」がある。歯でチューブを「ニチニチ」と噛んだ記憶がある人もきっと多いことかと思うが、こちらも今も購入可能。あの白くて甘い何かの正体は、「砂糖とゼラチンとデンプン」だそうだ。

 また、ヨーグルトのようでヨーグルトの味がまるでしない不思議なお菓子「モロッコヨーグル」も健在だ。小さな容器に詰められた、白いふわっふわのデザートを木のさじですくって食べる“特別感”がウリだったが、謎なのはヨーグルトではなく“ヨーグル”である点。じつは食品表示の問題で「ヨーグルト」とは表記できなかったらしく、寸止めの名称になったという。

 さらに、「キャベツ太郎」「蒲焼さん太郎」「もろこし輪太郎」といった“太郎シリーズ”を生み出したメーカー・菓道の“初期の大ヒット商品”である「餅太郎」も、駄菓子の代名詞(販売はやおきん)。ヒットした最大の理由を、著者は“「当たりが出たらもう一袋!」の「連続当て」駄菓子だったこと”と分析しているが、たしかに昭和っ子が当たりを見事引いたときのテンションの上がりようはハンパじゃなかった。いまはコンビニ対応で当たりシステムはなくなってしまったようだが、あの絶頂感を再び味わってみたいものだ。

 このほかにも、「小さいソフトクリームみたいなやつ」としか形容のしようがない「ソフト菓子(トンガリ)」や、歯にネチネチとよく絡みついた「こざくら餅」、チョコ製品では不動の人気を誇った「チョコバット」、仁丹のような「ウメミンツ」、イカ系駄菓子の王道で串に刺さったニクい一品「紋次郎いか」も存命中。ネット上で販売しているサイトも多くあるが、どうせなら駄菓子屋で買って食べたいもの。あの懐かしの味を求めて駄菓子屋巡りをするのも“大人の休日”というものかもしれない。