敬語のつもりが失礼に! 「よくある話し方」の落とし穴

人間関係

更新日:2016/1/13

 上司に顧客、取引先……仕事をしていて悩ましいのが、「この話し方は正しいのか?」という問題。精一杯ていねいに話しているつもりが妙な敬語になっていたり、逆に普段のクセから「~な感じ? というか」「ちょっとヤバいですね」なんて話し言葉がうっかり漏れてしまったりと、不安や失敗はつきない。一体、正しい話し方とはどんなものなのか、社会人なら身につけておきたいものだ。

 そんな言葉で悩める人にオススメしたいのが、『その堅苦しい話し方は、行きすぎです!~エグゼクティブが実践している「話す技法」~』(矢野 香/すばる舎)。本書は、自信がないためにカタい言葉を使ってしまう人の、いらぬ“武装”を解く方法を指南。それは、言葉を「ワンポイントだけ、さらっと崩す」ことがミソだという。

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 たとえば、ついつい使いがちな「懸念しています」という表現は「心配しています」に。政治家の常套句である「誠に遺憾です」も「期待に添うことができなくて、申し訳なさでいっぱいです」と変えれば、ぐっと「人間味」が感じられるようになる。ポイントは「話の重みを失わない範囲」で崩すことなのだ。

 もちろん、敬語を使うときも考え方は一緒。注意したいのは、「~させていただきます」といった言葉を連発して“過剰にへりくだる”こと。次に「左様でございます」「恐縮です」といったような“日常あまり使わない言葉を並べ立てる”こと。そして、単語ひとつひとつに「お」や「ご」をつけすぎることだ。こうした話し方は、ていねいにしているつもりが「慇懃無礼な敬語」になりがち。「左様でございます」ではなく「そうでございます」とわかりやすくすればOKなのだ。

 また、相づちを打つ際、「なるほど」という言葉を使う人は多いが、じつは「立場が上の人には用いない」もの。「目下が目上を評価」する言葉のため、失礼にあたるのだ。かといって「なるほどですね」と言えば、これまた慇懃無礼な言い方に。こうした場合は、「ごもっともです」と返事をするか、無言で頷けばいい。重要なのは「相手の発言を受け止め、しっかり間をとり熟慮」し、相手を尊重していることを伝えることだ。

 しかし、話し方の印象は、言葉づかいだけを変えればいいわけではない。「ありきたりで無難な内容」であれば、相手は退屈するし、「面白みのない人だな」という印象をもたれるのは当然のこと。「すごい」「きれい」「立派」といった“基準があいまいな言葉”は使わないよう、類語辞典を活用して語彙を増やす努力も必要だろう。さらに、無表情で話すことも堅苦しい印象になるのでNGだ。日頃から表情筋をほぐすトレーニングを行い、「感情がちゃんと相手に伝わる顔の柔らかさ」を自分のものにしよう。

 話し方をあらためることだけで、相手の印象もがらっと変わるはず。ひいては無用な誤解を避けることにもなる。このちょっとした心がけが、社会人としてだけでなく、対人関係全般で大きな変化を生むかもしれない。