『夜行観覧車』が2013年上半期最高の文庫小説に決定

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 本とコミックの情報誌『ダ・ヴィンチ』が、全国の書店員や本読みのプロとともに選ぶ「2013上半期BOOK OF THE YEAR」(※)。

――昨年の文庫ランキングでは『少女』が2位となった湊かなえが『夜行観覧車』で今期は堂々の1位を獲得。ドラマ版の「次週が気になる!」サスペンスフルな展開が話題を呼び、原作の売り上げを大きく後押しする形となった。

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 わずか4PT差で首位は逃したものの、昨年の3位から繰り上がったのが「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ。剛力彩芽主演のドラマは原作とのイメージの違いから賛否両論を巻き起こしたが、注目を集めたことで幅広い読者層の獲得に繋がった。

 3位に食い込んだ『和菓子のアン』は表紙とタイトルでジャケ買いする女性読者が続出。デパ地下の和菓子店を舞台にぽっちゃり系女子が活躍するライトミステリーという体裁が、「気軽に読書を楽しみたい」文庫ユーザーの嗜好にマッチした。2位との差わずか10PTとこちらも激戦だった。

 2作がベスト10入りした有川浩や、東野圭吾、伊坂幸太郎などベテラン勢も健在。「この作者の本は出たら買う」という固定ファンに支えられての安定のランクインだ。上位11作中、半分以上が映像化作品という結果に。やはり価格が手頃な文庫ジャンルはメディアミックスの相乗効果が最もよく表れるという証明になった。――本誌より一部抜粋

 6位以下の発表は同誌にて。湊かなえのインタビューとあわせて楽しみたい。

■1位 『夜行観覧車』 湊 かなえ 双葉文庫
■2位 『ビブリア古書堂の事件手帖栞子さんと二つの顔』(4) 三上 延 メディアワークス文庫
■3位 『和菓子のアン』 坂木 司 光文社文庫 
■4位 『謎解きはディナーのあとで』 東川篤哉 小学館文庫 
■5位 『植物図鑑』 有川 浩 幻冬舎文庫 

※全国の書店員に加え、選考委員(作家、書評家、ライター、本誌編集部員)にアンケートを実施。2012年10月1日~2013年4月6日に発売された書籍の中から、オススメの5冊をジャンルごとにあげてもらった。のべ1025名に回答をいただき、順位別に傾斜をつけて集計、ランキングを作成した。

構成・文=阿部花恵
(『ダ・ヴィンチ』7月号「2013年上半期BOOK OF THE YEAR」より)