押しかけ女房は効果的!? “押しかけ恋愛”を成功させる方法

BL

公開日:2013/6/14

 相手の意思などお構いなしに押しかけ、世話を焼く“押しかけ女房”。最近では「Menjoy!」というサイトで、心理学の研究によって「彼を振り向かせるなら“押しかけ女房”が効果的」ということがわかったという記事が書かれるほど人気のよう。そんな“押しかけ恋愛”がBLでも流行っているようなのだ。5月28日に発売された『押しかけドレイの花嫁修業!』(高峰あいす:著、みろくことこ:イラスト/海王社)では、主人公の最羽紡が父親の借金を返すために恩人である高千穂グループの御曹司・高千穂水城のもとに押しかけるし、『押しかけ花嫁の新婚日記』(月東 湊:著、神田 猫:イラスト/オークラ出版)では自分を救ってくれた花友禅の老舗工房・黎月華の跡取り息子である藤村総に恩返しがしたくて弓木日向が押しかけてくる。『岡部さん、おしかけ篠田くん、始まりの事情』(青井 陽/エンターブレイン)の高校生・篠田も受験のことで父親と喧嘩し、知り合いの紹介で岡部雅春の家に転がり込むのだ。そこで、これらの作品からそんな押しかけ恋愛を成功させる方法を紹介しよう。

 まず、最初はどんなことがあっても引かないという意思を見せること。「できればここに置いてほしい」なんて控えめな態度では、相手に説得されて追い返されてしまうかも。だから、『押しかけドレイの花嫁修業!』に出てくる紡が「水城の性奴隷になるから」と宣言したように、強く言い切るくらいでちょうどいい。また『岡部さん、おしかけ篠田くん、始まりの事情』の篠田はどんな質問ものらりくらりとかわしながら決して自分の素性を明かそうとせず、初対面にも関わらず「風呂借りていいっすか?」とふてぶてしく振る舞うのだ。『押しかけ花嫁の新婚日記』の日向も、買収されかかっていた黎月華を守るために彼の家へ押しかけ「黎月華が買収されないためだったら、何でもします」と言い切るのだ。多少強引でも、こんなふうに押しかけて一緒に暮らせるようになればこっちのもの。

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 そして、今度は一転して相手に尽くすのがポイントだ。ただ強引に押しかけて居座るだけでは、相手も迷惑にしか思わない。振り向かせるどころか、印象は悪くなるばかり。そこで、世間知らずのお坊ちゃんだった『岡部さん、おしかけ篠田くん、始まりの事情』の篠田のように、「置いてもらってる間はできることはやる」と言って家事を引き受けたり、放っておいても大人しく勉強して迷惑を書ないようにするだけでも全然違う。『押しかけ花嫁の新婚日記』に出てくる日向のように、父親と不仲になって絵が描けなくなった総のために庭に花を植えたり、父親との関係を修復するために動くといった陰で支える方法も。『押しかけドレイの花嫁修業!』の紡だって自分にプロポーズしてくれた水城には「好きなときに抱いて」とねだるし、紡のことで水城を悪く言う相手には「あの人を馬鹿にするようなことは言ってほしくないんです」と食って掛かるのだ。そうやって、生活のなかだけでなく心にまですんなりと入り込んでくる彼ら。こんなに一途な姿や初めの強引さとは打って変わってしおらしい態度なんて見せられたら、もう少し一緒にいてもいいかなと思ってしまう。

 そもそも、押しかけ恋愛が相手を振り向かせるのに効果的なのは、一緒にいる時間が長いから。最初は何とも思っていなかったとしても、やはり同じ場所で同じ時間を過ごしていたら誰だって情がうつってしまう。おまけに、『押しかけ花嫁の新婚日記』の日向と総や『押しかけドレイの花嫁修業!』の紡と水城のように、フリでも夫婦として暮らしたりキスやエッチをする関係になったらもっと相手のことを知りたくなるし、何かあったら守ってあげたいと思うはず。だからこそ、より自分に興味を持ってもらって手放せなくさせるために、どこか放っておけないような危なっかしさを見せるのも効果的だ。「奴隷として売る」という約束を果たさなければ、今すぐにでも家を飛び出して誰彼かまわず自分を投げ出してしまいそうな『押しかけドレイの花嫁修業!』の紡。いくら恩返しのためとは言え、2ヵ月近くも女の格好で過ごし「結婚しようか」と言われれば結婚式を挙げて初夜まで通してしまう『押しかけ花嫁の新婚日記』の日向。『岡部さん、おしかけ篠田くん、始まりの事情』の篠田だって有名私立のお坊ちゃまで、ひとりでファミレスに行ったこともなければノリで家出しちゃうようなヤツだ。おまけに初対面の岡部の家にもためらいなく住み込んでしまうのだから、危なっかしくて目が離せない。こんなふうに、自分が手放したらダメだと相手に思わせることができたら、押しかけ恋愛は大成功。

 一緒にいれば今まで見えていなかったものが見えてくることもあるし、たしかに押しかけ恋愛をするのは相手を振り向かせるためには効果的なのかも。みなさんも気になる相手がいたら、押しかけ恋愛してみては?

文=小里樹