ゆるキャラ人気の立役者!? 着ぐるみの魅力とは?

マンガ

更新日:2013/6/27

 ひこにゃん、せんとくん、くまモン、バリィさん…。世は空前のゆるキャラブームだが、人気の背景には着ぐるみとしての魅力も多いに関係あるだろう。実際、ゆるキャラや遊園地のマスコットキャラクター、戦隊もののヒーローたちのように、着ぐるみを着ることにはどんな利点があるのだろうか?

 6月7日に発売された『カブルモン』(藤堂あきと/芳文社)には、着ぐるみを楽しむ“カブルモン部”が登場する。このカブルモン部には、部長で着ぐるみ制作を担当している素川瑞穂とスーツアクターを目指している蜂須賀友紀。2人の着ぐるみパフォーマンスを見て惹かれた1年生の主人公・高沢和葉とそのクラスメイト・一二見早苗が所属しているのだが、彼女たちの活動から着ぐるみの魅力について探ってみよう。

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 まず、瑞穂いわく「着ぐるみは動物にも怪獣にも男女の区別もなく誰でも同じキャラになれる」のだ。たしかに、着ぐるみを着れば誰もが遊園地のマスコットキャラクターやくまモン、バリィさんにだって変身できちゃう。でも、誰がやっても同じだからこそ動きや細かい部分がポイントになってくるのだ。最初に先生の被り物を被ってパフォーマンスをしていた友紀は、普段は右利きなのに先生を演じるために左利きでパフォーマンスするし、カクカクした動き方も完璧にコピーしていた。誰が入っても同じだからこそ、そのキャラクターに共通する動きやパフォーマンスが必要になってくる。そういったキャラ付けができているからこそ、今のゆるキャラたちがこれほどまでに人気を得たのだろう。

 また、顔が見えないので羞恥心も減り、心からなりきることができたり、冷静に相手の反応を見ることもできるのも大きい。なりきるという点ではコスプレも同じかもしれないが、顔が隠れているというだけでコスプレよりもさらに自分じゃないものになりきることができる。人とうまくしゃべれない和葉は、「私…顔なんて出したらきっと立ちすくんじゃう」と言っていたが、いざ着ぐるみに入ってお面をつけるとそのとたん役になりきり、廊下で決めポーズをしたり、こけても平然としていられる。友紀が「正体わかんないのも気持ちいいよねぇ~」と言うのだが、たしかに自分だとバレていないからどんなことでもできるし、みんなに笑ってもらえて楽しくなるのだ。自分がどんな顔、表情でいるのかはお客さんにバレないし、逆にお客さんの反応を冷静に伺いながら行動できるのも着ぐるみの強みなのかも。

 そして、着ぐるみを着てパフォーマンスするには衣装を作ったり、隣でサポートしてくれる仲間が必要。和葉が急遽ヒーローショーの代役として出ることになったときも、フラフラになって倒れたところをスタッフが「あーあるある」と言ってテキパキと着ぐるみを脱がせ、介抱してくれる。それに、着ぐるみの隣には必ずサポート役の人がつく。狭い場所を歩くときやトイレに行きたくなったとき、何かトラブルがあったときのためにサインを決めておいてサポート役の人が助けてあげるのだ。初めてのイベントで和葉が人の波にのまれそうになっていたときも、早苗が身を挺して必死に守ってくれる。こんなふうに、仲間との絆や信頼関係があるからこそ、着ぐるみの中の人が安心して思いっきりパフォーマンスすることができるのだ。

 この本を読めば、あなたもきっと着ぐるみの中の人になってみたくなる?

文=小里樹