ミムラ 「孤高の画家・田中一村に私が惹かれる理由」

芸能

公開日:2011/9/29

大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』などで活躍中の女優・ミムラさん。彼女は10月1日(土)より公開の映画『天国からのエール』(配給/アスミック・エース)に出演している。

本作は、沖縄本島にある小さな町で音楽を志す高校生たちに夢と希望を与えた実在の人物・仲宗根陽さんの生涯を映画化。ミムラさんが演じたのは、仲宗根さん(役名:大城陽)の妻・美幸さん(役名:大城美智子)だ。

阿部寛演じる大城陽は、進むべき道を見失いかけた子どもたちのために、自分のことは二の次にしてでも彼らの音楽活動を支えようとする。信念一筋に生きるその姿は、あまりに猪突猛進で熱血だ。

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「陽さんは、相手に自分の心が伝わるということを一切疑わない人だったように思います。『わかるだろ? わからないわけないよな?』って誰に対しても全身でぶつかっていく。彼に出会えた子どもは、大人になったら下の世代にも同じように接することができると思うんです」

今回、ミムラさんがとても惹かれている画家としてあげてくれた田中一村も、芸術に全てを捧げる人生を送った人物だ。50歳で移住した奄美大島の自然を愛し、島の植物や鳥を描き続けた孤高の日本画家、それが田中一村だ。

「絵から、“思い”が伝わってくるんです。一村は生前、無名に近い存在でした。でも、それはただ時代にフィットしなかっただけであって、今では奄美大島に彼の美術館が建つほど、高い評価を受けています。美術の世界には、世俗的な評価よりも己が表現したい世界を、信念を持って最後まで描ききることを選んだ画家が何人もいますが、私はそうした人たちをとても尊敬しています。なかでも一村は、己の境遇に鬱屈することなく、どの絵にも楽しさや心からの感動を込めたのがよくわかる。そこが本当に好きなんです」

自分が信じた道を、ただひたすら歩んでいく。そんな人生のほうが幸せなはずなのに、他人の目を気にしたり、余計な思惑が邪魔したりで、大多数の人間はなかなか心の赴くままに進むことができない。

「それに比べ、仲宗根さんや、彼を演じた阿部寛さん、そして田中一村は自分のやりたいことに邁進できる境地に達した人たちなのだと思います。私も、いつかはそんなふうになれたらって思っているのですが」

(ダ・ヴィンチ10月号「あの人と本の話」より)