28歳女医の基本給は一般企業並み? 知られざる女子の「給与明細」

マネー

更新日:2013/7/1

 夏のボーナスシーズンが到来し、日ごろの頑張りへのご褒美を買い求める人もいれば、転職を考える人も多くなるこの時期。転職情報サイト「DODA」がまとめた転職人気企業ランキングでは、4年連続でグーグルが総合トップを獲得。グーグルは社内にマッサージルームを作ったり、子どもと過ごすための短縮勤務を認めたりと、“働くことをサポート”する取り組みが有名で、その点が支持されたのかもしれない。

 就職浪人を回避するために、採用されることが優先となる新卒時とは違って、自分に合った働き方を選ぶことが転職の成功のポイントとなる。特に結婚・出産を考えている女性にとっては職務内容やキャリアプランはもちろん、仕事が続けられるか、育児休暇が取得しやすい環境か、残業時間の有無は非常に大きなポイントとなる。

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 しかし、転職情報サイトには勤務時間や福利厚生などの項目こそあれ、「生の声」が聞こえてくることはない。そんなときに、参考にしたいのが『給与明細で比べる「女子のお仕事」』(働く女子研/宝島社)だ。ネイリストやウェディングプランナーなどの人気職種だけではなく、物流会社の営業事務、建設会社の経理など身近な職業の給与明細が一挙に公開されている。さらにはメリット・デメリット、働きやすさなどが書かれているので、リアルな業界の実情が見えてくる。

 大手建設会社の経理部門に所属する28歳の女性は、月収(手取り)19万円、年収が約380万円。残業は0で、産休も2年まで取得可能、時短勤務制度も充実しているという。社内でのやりとりがメインなのでクレーム対応はないと、一見すると恵まれた環境に思える。しかし「男性社会が色濃く残っている」「キャリアプランが見えにくい」というから、仕事にやりがいを求めるタイプには物足りないかもしれない。

 一方、大型レコード店のマーケティングを担当する27歳の女性は、月収26万円・年収約450万円。「ミュージシャン相手の仕事が多く休暇が少ない」「多忙の割に報酬が少なめ」「福利厚生が少なめ」とこぼしつつ、「若い人が多く挑戦をよしとする業界なので、活発な雰囲気」「提案を聞く時間をすぐにとり、前例に縛られず検討してくれる」と、仕事へのモチベーションが原動力になっていると話す。この場合は、自分の時間を大切にしたいというタイプには向かない仕事だろう。

 28歳の産婦人科医は、月収59万円と群を抜いての高収入。しかし給与明細を見てみると、実は基本給は約25万円と一般企業と同じぐらい。何が違うかというと、時間外勤務手当が約20万円、宿日直手当が約24万円と手当だけで新卒2人分。しかし、1週間のスケジュールを見てみれば、土日も緊急手術が入り、宿直明けでそのまま通常勤務を行うなど、どれほどハードスケジュールかがわかる。それでも産休の体制は整っており、子育てしながら仕事を続ける人も多いようだから、子育て期間中は仕事量をセーブできるということなのだろう。

 ほかの職種のメリット・デメリットを見てみると、「衛生状態の悪い患者さんに当たると本当に大変! 汚い、臭い……ということも」(歯科衛生士)、「嫌な人や犯罪者にたくさん接することになるので、外国人に素直に好感が持ちにくくなってしまった」(空港・出入国審査官)、「家が安く買える」(住宅販売会社・事務)、「有名人と話せる」(航空会社・グランドスタッフ)など、どうにも回避しようがないデメリットがあれば、お金には代えられない“特典”もあり、まさに一長一短といったところ。

 他人の給与明細や労働環境を見ていると、自ずと自分がどんな働き方を求めているかがわかってくる。転職を考えていなくても、改めて「働く」ことを見つめ直せるいい機会かもしれない。