SKE、チームしゃちほこに続け! 名古屋ネタ満載のラノベが登場!

マンガ

更新日:2013/7/3

 アイドル、グルメ、ゆるキャラ…と大ブームの“ご当地もの”だが、今度はラノベにもその波が押し寄せてきているようだ。今回その舞台に選ばれたのは、独特なカルチャーがたびたび話題になる名古屋。6月25日に発売された『8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクト』(石原 宙:著、 029:イラスト/集英社)には、味噌アレルギーで名古屋から東京に逃げてきた高校生の主人公・米田シロと、それを追いかけてきた味噌大好きな妹・なごのが登場する。彼らが通う高校の学食では、8つの食堂が常に競い合っていた。シロがバイトする学食・満天もそのうちのひとつだが、あまりにも人気がないので店の存続をかけて学食最強店のグランドキッチンと戦うことに。そんな危機的状況を、彼らは名古屋ネタで乗り越えていくのだ。

 店長代理の天ノ川天に料理長の最上かこ、接客担当の百瀬しるびあなど、主人公たちの名前が名古屋の喫茶店にかかっているところからも名古屋へのこだわりを感じるのだが、ここではとにかく味噌や名古屋名物が大活躍する。なごのの必殺技「甘味噌かけちゃいました(ウェルカム・トゥ・ブラックパレード)」では、相手の料理や食材、ここの学食で働く人たちが大切にしている星付きバンドにまで甘味噌をかけてしまう。いくら名古屋人が味噌をかけるからって、何でもかんでもかけ過ぎなのだ。そして、名古屋には「甘口抹茶小倉スパ」という甘いパスタがあるそうなのだが、それを見習ってかコーヒーを麺に練りこんで生クリームと小倉あんをのせた「カフェオレスパ」を作ったりもする。さらに、名古屋のモーニングからアイディアをもらって、学食でもコーヒー1杯の値段で小倉トーストとゆで卵がついてくるモーニングを始める。でも、この安さとお得感が受けて万年最下位だった満天が奇跡を起こすのだ。

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 また、彼らはバトルに名古屋の風習まで取り入れてしまう。たとえば、料理対決で天たちが食材を取りに行こうとしても大勢の人に阻まれて取れなかったとき、なごのが繰り出したのが「店の花を盗む悪魔(デビルバット・ゴースト)」。これは、お店の開店祝いに飾られた花を持ち帰る名古屋人の風習からヒントをえたようだ。この技があるなら、スーパーの安売りでだって名古屋人は負けないはず。そして、接客担当のしるびあには嫁入りのときに菓子まきをする風習から「空から降る一億の罵倒(キャンディ・テンポ)」を伝授する。これは、袋にひとこと罵倒を書きなぐったアメをばらまくというもの。でも、この方法で大量のドM客をゲットすることができた。

 さらに、この作品には名古屋人なら思わず笑っちゃうローカルネタも満載。出汁の味見をしたがるなごのに「これチンチンだぞ」と言うシロを見て、真っ赤になる最上というお決まりのパターンから、織田信長リスペクト。先生にマンガやゲームを大量に貸してもらっていたなごのにシロが「先生何でも貸してくれるな! ツタヤか!」とツッコむと「名古屋的に言うならそこは近藤産興でしょ! やり直し!」なんて言われてしまう。そして、初対面の天に敵意むき出しだったなごのに、シロが「俺たちの仲間だ!」と言うと「ドラゴンズで説明して」と言い出す彼女。だからそこでシロが「ヤクルトは敵だけど、実はドアラとつば九郎は仲いいだろ!」「つば九郎は仲間! それと同じだ!」と必死に説得すると、なんとなごのにもわかってもらえるのだ。他にも、名古屋の喫茶店を紹介したページもあるし、名古屋人なら思わず納得(?)のネタが盛りだくさん。

 名古屋のおいしいものを布教して、「東京を名古屋にしちゃえ」というなごのの「東京なごやか計画」。この計画が実現するのも、そう遠くない?

文=小里樹