ももクロ、GMTはまだ甘い!? 元アイドルが語る芸能界の裏側

芸能

公開日:2013/7/30

 先日、大人気アイドルグループ・ももいろクローバーZが、ファンに「学校での出待ち」を自粛するよう呼びかけるコメントを公式サイトで発表した。あの『あまちゃん』でも、主演の能年玲奈はももクロを参考にしているというが、作中では世間も知らない若い女の子たちがワンマンプロデューサーに振り回されるという芸能界の舞台裏が描かれ、アイドルの苦労が忍ばれるような展開だ。

 しかし、ファンの出待ちや大人の事情に巻き込まれるのは序の口。アイドルというのは想像以上に厳しい世界であるらしい。そんな内情を、人気ライター・吉田豪が元アイドルに肉薄したインタビュー集『元アイドル!』(ワニマガジン社)から紹介しよう。

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 まず、元アイドルたちが口を揃え、実情を暴露しているのは“給料の少なさ”だ。とくに、おニャン子クラブでも1、2の人気を集めた新田恵利は、「お給料制だから微々たるものでした」「もし人生をやり直せるとしたら、必ず歩合制でやり直しますね(笑)」と未だ許せない様子。グループとしてだけではなく、ソロでも『冬のオペラグラス』などのヒットを飛ばした彼女だが、そのときの恨みなのか「作詞も最初の重要な物だけ秋元さん(中略)にお願いして、残りは全部自分で書きますね」と述べているほどだ。

 また、アイドルにとって重要なのは“事務所の力”である。初代ミスマガジンのいとうまい子は、歌手として新人レースを総なめにしたもののレコード大賞を辞退した理由について「あれはお金がないから」とあっさり説明。事務所からは「出るためにはお金要るから」と言われて出られなかったのだという。一方、個性派アイドルと呼ばれ、いまはイラストレーター・写真家など幅広く活動している宍戸留美も、メガロポリス音楽祭で優秀新人賞を受賞した経験について「まあ、レコード会社とか事務所の力で貰えるものだから、それは全然嬉しくなかったですね(笑)」と話しているように、事務所が大きいか小さいか、芸能界で力を持っているか否かがアイドルの人生にも大きく響くようだ。

 さらに、グループアイドルの場合は“メンバー同士の人間関係”という頭の痛い問題がある。“平成のおニャン子クラブ”を目指して秋元康協力のもと立ち上げられ、見事失敗に終わったグループ・チェキッ娘のメンバー・藤岡麻美は、楽屋に入るなり他のメンバーから「チッ!」と舌打ちされた体験を吐露。“やっぱり「私が、私が!」の世界だなと思って”と、女性アイドルグループの難しさを語っている。しかし、いがみ合っていたとしても、まだ繋がりがあるのはいいほうだ。菅野美穂も在籍していた桜っ子クラブさくら組のメンバーだった胡桃沢ひろこは、メンバー内に“横のつながり”がなかったことを明かし、なんと「(菅野が)さくら組にいたって知らなかったんですよ」と衝撃のひとことをさらっと述べている。現在のアイドルグループは、AKBグループしかり、ももクロしかり、結束力が人気の秘訣にもなっているが、その内部では桜っ子クラブのようなことがいまも意外と起こっているのだろうか。

 だが、もっとも恐ろしいのは“ファンの暴走”である。前出の新田は、「お母さんがファンの子の車にぶつけられる」という事件も起こるほどだったというが、実家に泥棒が入り下着や写真を盗まれて地元の警察に相談しても「しょうがないよね、そういう商売だから」と言われたそう。もちろん、自分自身のファンだけが脅威ではない。『ヤヌスの鏡』をはじめとする大映ドラマに主演し、大ブームを巻き起こした杉浦幸は、ジャニーズ事務所所属の岡本健一とドラマで共演していた際、「(岡本の)追っかけにいきなり殴られたりして」と告白。「何されてもおかしくないぐらいだったから、それは怖かったですね」と語っている。

 ちなみに杉浦は、デビュー前に「彼氏関係から回収した写真を抹殺」したらしい。昔はこれで済んだかもしれないが、データ時代の現在はこれもひどく大変な作業。アイドルを目指す人は、こういった大先輩である元アイドルの証言も、多いに参考にしてほしい。