ももクロ&官邸の“特命交渉人”が、政治を語る異色対談が面白すぎる

政治

公開日:2013/8/22

 いまやテレビで見ない日はない国民的アイドルグループ「ももいろクローバーZ」。ドランクドラゴン塚地武雅や南海キャンディーズのやまちゃんこと山里亮太をはじめ、芸能人にも多くの“モノノフ”(ファン)を持つ。が、その中には意外な人も。なんと現在、安倍政権にて内閣官房参与を務める飯島勲氏(67)もモノノフの一人なのだ。

 飯島氏といえば、元首相・小泉純一郎氏を支える剛腕秘書として国内外で恐れられてきた人物。今年5月には、安倍首相の“密使”として極秘訪朝を行ったが、北朝鮮がそれを表敬訪問と称して暴露。大きなニュースになったのは記憶に新しい。

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 そんな彼がももクロと出会ったのは、かわいい孫娘の期待にこたえるために、ももクロとのトークライブを引き受けたのがそもそものきっかけ。その時の様子は、今年7月に出版された氏の著書『秘密ノート~交渉、スキャンダル消し、橋下対策』(プレジデント社)の中の「裸の勝負120分! ももいろクローバ―Z×飯島勲」に詳しい。

 あまりにも年の離れた10代のアイドルたちと話すことに不安を抱きつつ、熱気あふれる会場に姿を現した飯島氏。ライブでは、内閣参与の仕事、支持率の出し方、アイドルが国に対してできることなど、ももクロが抱く素朴な疑問が炸裂! 飯島氏は若い彼女らにもわかりやすく言葉を選び、丁寧に解説している。

【百田】「どうして日本の総理大臣はすぐに代わってしまうのですか?」

【飯島勲】「日本の場合、国会議員の中には総理大臣になりたい人がいっぱいいて、支持率が低くなったとたんに足を引っ張る人が多い。そうすると総理大臣としての仕事ができなくなって、辞めざるを得なくなる。小泉総理は最初から最後まで支持率が高いままだったから、五年五カ月もつづけられました」

【飯島】「(アイドルと政治家の共通点について)いろいろな仕事を担当するたくさんの関係者のチームワークが必要なところは同じですよね。たとえば、総理大臣の周りには、何が入っているかわからない封筒を開ける人や、秘密が漏れないように書類を集めて溶かす人までいます」

 「書類を溶かす仕事!?」と反応するももクロメンバーに対し、飯島氏は意外と知らない国の機密の守り方を紹介。「今日がきっかけでみなさんのファンになって次のライブに行ったとしたら、ハゲ頭の怖いおじさんがいるとなって、私の周りに空間ができちゃうよね」と笑いをとる飯島氏。聞けそうで聞けない政界の裏話がテンポよく楽しめる。

 ほかにも、本書には思わずニヤリとさせられる仕掛けが満載だ。本書の主なテーマの一つ、「アベノミクスと秘密の小部屋」では、官邸内や政界で実際にあった例を紹介しながら、「“目には見えない危機管理”が日本を救う」、「“表の情報”を知らなければ“裏の情報”を生かせない」など、一般企業でも活用できそうな思考法やテクニックを伝授。水面下で動く“特命交渉人”の目で見た安部政権の裏事情を明かす。

 また、妙に実用的な「陸上自衛隊サバイバルレシピ」をはじめ、飯島氏がお花畑でほほ笑むグラビア(?)付きの“秘密の袋とじ”があったり、本書の解説担当としてゾマホン氏が登場したりと、政治本には類を見ないエンタメ要素もスゴイ。

 ももクロを応援するモノノフはもちろん、政治に疎い方にもオススメの本書。怖くて知的でちょっとお茶目…そんな飯島氏の魅力に思わずハマってしまうこと請け合いだ。

文=矢口あやは