神様の引越が重なるまれな年、この秋は伊勢と出雲をダブル参拝!

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公開日:2013/9/4

 日本を代表する二大神社の遷宮(せんぐう)が話題である。

 伊勢神宮の参拝客が今年上半期だけで600万人を突破、年間1000万人となることが見込まれ、伊勢神宮と出雲大社、両神社を巡る参拝ツアーが催行されている。9月3日には『ご利益! 金運! 縁結び! 全国開運神社巡りの旅』(テレビ東京系)が放送され、テレビでも特番が組まれる人気ぶり。この秋、ご利益を求めてスピリチュアル行楽を予定している方も多いのではないだろうか。

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 ちなみに遷宮(式年遷宮)とは神社の社殿の造り替えのことで、その改築・修理の前後にご神体を仮殿または新宮へ移す儀式が行われる。神様の住まいである社殿を新しくすることで神様もリフレッシュし、その力がより強力になるといわれているのだ。

 伊勢神宮では、社殿すべてが新調され、ご神体が新宮に還る「遷御」は10月2日(内宮)と5日(外宮)に執り行われる。一方の出雲大社は、「御修造」として社殿の痛んだ部分だけに修理・修繕を施し、遷宮は5月に完了。旧暦10月には八百万の神が集まるとされている。伊勢神宮の「式年遷宮」は20年に一度、出雲大社の「大遷宮」は60年に一度で、両神社の遷宮が重なることは非常にまれであり、そういった意味で今年は歴史的なスペシャルイヤーなのである。

 人気イラストレーター上大岡トメさんとふくもの隊による『伊勢神宮・出雲大社をめぐるご利益満点の旅 開運! 神社さんぽ2』(泰文堂)は、伊勢と出雲の情報をからめながら“神社さんぽ”をアミューズメントとして紹介する1冊だ。トメさん曰く「神社の良さは、いったん鳥居をくぐるとその清浄な空気でニュートラルになれるところ」。キモチが浄化されたら、土地の旨いもんや地酒をいただき、宿でお湯にとぷんとつかって自らにエネルギーを注入。元気になって日常生活に戻るという、トメさん流神社さんぽの楽しさをシェアする情報が盛り込まれている。

 神社にまつわる神話や遷宮の解説、神社の現地取材が、それぞれひとつのマンガルポにまとめられているので読みやすい。トメさんが、伊勢神宮では新・旧ふたつの社殿が並び建つ貴重な光景にワクワクしたり、出雲大社の新しいご本殿にウキウキしたり。定期的に遷宮されることで、境内に入った瞬間、常若(いつまでも若々しく瑞々しいこと)を肌で感じるという描写は、行った人ならではの高揚感があり、神社好き心がくすぐられることうけあい。おすすめの立ち寄りスポットや見ドコロ記事にもぜひ目を通そう。

 せっかく参拝に行くなら“見逃しや食べ逃しをしたくない!”という方におすすめなのは、『最新版 最強開運! お伊勢まいり ~出雲縁結びの旅情報つき~』(主婦の友社)。こちらは伊勢にポイントを絞った“伊勢女(イセジョ)”向きの1冊。「一番役に立つのは、実際に行った人のリアルな体験記!」ということで、ひたすら女性目線のリアルに徹している。「パワースポットは一体どこだったの?」「まわる順番、間違った!」「混みすぎてギブアップ!」など、参拝後に後悔しないための読者1000人からの口コミ情報には、いちいち納得。

 “伊勢神宮は縁結びのパワースポットではない”というありがちなカンチガイを正すガイダンスや、実際に歩くと何時間かかり、1日でどれくらいまわれるのか、おすすめの参拝時間帯や正しい参拝法、2泊3日取材旅の各移動時間+全歩数データなど、取材班が足でかせいだ、とりこぼさないための転ばぬ先の杖情報もてんこ盛りだ。中でもイラストと写真によるまわり方の詳細マップは、基本の「内宮&外宮」編、中級の「別宮めぐり」、上級の「遥宮めぐり」と、初心者からディープなマニアまで納得できる充実の内容。

 口コミによる旅の成功&失敗談も収録されており、「神宮の木のパワーに恋をしてしまったかも(笑)」(自営業・33才)、「伊勢の夜は早く、コンビニで夕飯を買うはめに」(保育士・28才)など、訪れた人のコメントが興味深い。なお、この本のボリュームバランスは伊勢神宮9割、出雲大社1割となっているのであらかじめお含みおきを。

 「そうはいっても、今から伊勢&出雲旅行なんて、物理的に難しい!」という方もいらっしゃることだろう。ちなみに筆者が先日仕事でお会いした方位学の占い師さんによれば、両神社は東京でも参拝が可能とのこと。伊勢神宮の遥拝殿である「東京大神宮」と、「出雲大社東京分祠」へ参拝するのも一案ということだ。ただし「遠方の有名神社に行く前に、まずは自分の氏神様にお参りし、日頃のお礼をするのが先」とのことなのでお忘れなく。

 日本人なら一度は行きたい、二大神社のめったにないダブル遷宮。この機会に氏神様参拝から始める、神社巡りを計画してはいかがだろうか。

文=タニハタマユミ