滝クリも実は苦労した? 知られざるハーフの秘密

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更新日:2013/9/27

 2020年のオリンピックが東京で開催されることが決まったが、その招致活動で株を上げたのが滝川クリステルだ。流暢なフランス語で「おもてなし」についてのスピーチを行い、それが高く評価されたと言われている。しかし、実はネイティブからすると、滝クリのフランス語はたどたどしいものだったそう。その拙さが逆に一生懸命な感じがして好感がもてたということらしいが、知的でフランス語もペラペラという日本人が抱いている滝クリのイメージとはちがったようだ。

 多くの人は、ハーフときくとキレイでかっこよくて、外国語もペラペラ。モテモテで羨ましいなんてイメージを持っているかもしれないが、必ずしもそうとは限らない。実際、ドイツと日本のハーフでもあるサンドラ・ヘフェリンが、実体験や友人の話をもとに作った『ニッポン在住ハーフなわたしの切実で笑える100のモンダイ』(サンドラ・ヘフェリン、ヒラマツオ/メディアファクトリー)でも、言葉や見た目、文化の違いなどでさまざまな苦労をしたことが描かれている。

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 まず、やはり1番多いのが言葉の苦労。ハーフとはいっても、生まれも育ちも日本で両親ともに日本語でしか会話しない家庭で育ったら、もう1つの言語は挨拶程度しかできないのも仕方がない。それなのに、日本とフランスのハーフであるパスカルが大学でフランス語を履修しようとすると、教授から「簡単に点数とろうとしてるの? ラクしちゃダメだよ」と言われてしまうし、フランス語がまったくできないことを説明すると「それは災難だね…」と返されてしまう。それとは別に、日本とドイツのハーフであるトーマスがフランス語を履修しようとするとやたらハードルをあげられるし、逆にそのハードルを下げようとドイツ語ができないことをアピールすると「もったいないね」と言われてしまうのだ。この「もったいない」は、ハーフにとって結構凹むキーワードらしい。

 また、家族間でも大変なことがあるそう。たとえば、日本人の父親とハーフの娘が一緒に食事をしていると国際不倫と間違われてしまう。文化の違いからか、授業参観にやたら派手な格好で来て目立ったり、運動会の弁当にステーキと納豆が入っていたりすることも。それに、両親ともにどちらの言語も理解できる。あるいは、どちらか片方でももう一方の言葉をきちんと理解できていれば、コミュニケーションで困ることはない。でも、どちらもカタコトだったり自分の国の言葉しかわからない場合、母国語でしかできないような込み入った話をするときや難しい文章を読むときは、子どもが通訳をすることになる。だから、4歳の息子に不動産の書類についての話を通訳させたり、大学の書類を訳させたり。なかには、離婚協議を息子に通訳させる家庭なんかもあったそう。周りや両親は、子どもが2つの言葉を話せるのは幸せなことだと思っているかもしれないが、必ずしもそうとは言えないかも。

 さらに、就職活動や仕事でも人知れず苦労している。普通、面接では志望動機や自己アピールを聞かれるものだが、なぜかハーフの人たちは「ウチは日曜日も出てもらうこともありますが教会へ行ったりはしますか?」とか「よくあちらにはお帰りになるんですか?」。食品メーカーでもないのに「納豆は食べられますか?」とまったく関係ない質問をされて、時間が無くなってしまうことがあるそう。実際に会社に勤め始めて仕事で飲みに行くときも、「ごめんなさいお刺身大丈夫でしたか?」「お箸って大丈夫?」と気を遣われる。それに、たとえ日本酒が好きで飲みたいと思っても「ドイツといったらビールでしょ!?」と勝手にビール好きにされてしまうのだ。

 日本人は、ハーフというだけでやたらとハードルをあげてしまいがちだが、こういった苦労をしているということも知っておいた方がいいかも。そのうえで、同じ日本人としてうまくコミュニケーションをとりながら生活していければ、お互いハッピーだろう。

文=小里樹