スマホ普及で増加! なんでネット依存症になるの?

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更新日:2013/9/29

 1日中、ネットに触れていなければ、気が狂いそうだ。電車の中も、食事の間も、寝る時も、スマホがすぐに手が届く場所に置いていないと落ち着かない。それは私だけでなく同じような若者は決して少なくはないだろう。iPhone 5S、5Cも発売され、スマホの普及は留まることを知らない。いつでもどこでも情報を手にすることができる利便性の一方で、厚生労働省は「ネット依存症」の中高生が全国で51万8千人に及ぶと推計。来年度から「ネット断食」を小学生から高校生までをターゲットに行い、依存症への対策をはかるらしい。

 そもそもネット依存症とはどのような状態をさすのだろうか。社会精神医学が専門でネット依存症に詳しい墨岡孝医師の著書『「パソコン病」に負けないで』(毎日新聞社)によれば、ネット依存とは「ネットによって日常生活や社会生活に障害が起こる」状態のこと。重い依存状態にある場合は、うつ病や統合失調症、自律神経失調症等を引き起こす場合もある。ネットの利用時間がコントロールできなかったり、ネットに繋がらない場所にいるとイライラや不安が募ったりする場合は危険信号。特に、仕事とは別に、使用時間が1日5時間以上のヘビーユーザーは予備軍であり、1日10時間以上ネットを使っていれば依存症だ。

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 同氏の著書『テクノストレスから疲れをとる本 目・肩・頭の痛み、不眠・イライラ…あなたを蝕むパソコン病の防ぎ方・治し方』(河出書房新社)によれば、ネット依存は元々、1980年代からプログラマーを中心として一種の職業病として問題視されてきたようだが、インターネットの隆盛によって次第に裾野が広がり、近年ではスマホの普及によって中高生にまで蔓延し始めているらしい。自室に引きこもってネットゲームを楽しむ「ネトゲ廃人」だけでなく、FacebookなどのSNSや気軽に友人と連絡を取り合えるLINEにハマりこむ者も多く、本人も自覚がないまま依存していくケースが多いようだ。次第にリアルの場でのコミュニケーションが疎ましく思えて、社会生活に支障を来たすようになり、依存症患者はネットの世界へと溺れていくのだという。

 なぜこのようなネット依存は起きてしまうのか。廣中直行著『依存症のすべて「やめられない気持ち」はどこから来る?』(講談社)によれば、ネット依存症は現実社会で疎外感を感じている者が陥りやすい病だ。リアルの場での人付き合いを煩わしく思いながらも、現代人は「誰かとつながっていたい不安」に苛まれている。ネットを使うことで自分に居場所ができたような気になり、その安心感から離れられなくなってしまうのだ。

 依存者は暇つぶしとして使っていたはずのネットに蝕まれていく。そこから脱するためにはまず依存度合いを自覚することから始めると良いようだ。ネットの利用時間を記録することで、案外長時間ネットに触れているという事実を自覚する。危機感を覚えた上で、徐々にネットに触れる時間を減らしていくことが大切だ。いきなりネットから離れると、混乱状態となる場合があるから、注意が必要。「人に触れる機会を増やす」「ノーネットデーを作る」ということも意識するとより効果的だ。

 ネットはいくら楽しいとはいえ、道具にすぎない。いくらスマホの中の世界が楽しいからと言っても、リアルでの人とのコミュニケーションに勝るものはないことを忘れてはならないだろう。

文 = アサトーミナミ