グルメがいるとメシがマズくなる!? うざい“食通”をメッタ斬り!

食・料理

公開日:2013/10/8

唐揚げにレモンをかけるなんてありえない。うどんは讃岐じゃなくちゃダメ。カレーに水は厳禁。などなど、みなさんの周りにも食事のときになるとなぜか“通”ぶりたがる人がいるのでは? そして、9月21日に発売された『私のご飯がまずいのはお前が隣にいるからだ』(いのうえさきこ/メディアファクトリー)にもそんな“通”がたくさん登場する。ただ静かに美味しいものを食べたい。そう願うヒロイン・さゆの周りに集まってくる、通を通り越した“通”とは一体どんな人たちなのだろう?

 まず最初の通は、デブでオタクな同僚の青山。基本的にどんな料理でもウンチクを語る彼だが、さゆは偶然寿司屋で遭遇してしまったので大変! いちいち「さゆちゃんはハシで食べる派かあ――」「あ、気にしないでー手で食べようがハシで食べようが自由だから」と口を出してくるし、しょうゆのつけ方も「これだけは覚えといたほうがいいよ」と偉そうに指導してくる。さらに、ほかの人がウニを頼んでいるところを見ると「こっちもウニ2つ!」と注文し、ふふふと笑いながら「どう?」と自慢げにさゆを見るのだ。青山いわく「他の客が自分の食べたいものをオーダーしたときはすかさず自分も乗っかる! 板前さんの手間が省ける非常にスマートなオーダー方法」なのだそう。気軽に食べれることがうりの回転寿司屋で、こんなに気を遣わなければならないなんて、なんだか疲れてしまう。

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 また、通を気取る人が多いのが蕎麦。初めてひとり蕎麦にチャレンジしたさゆが、相席になると言われて周囲のお客さんにさりげなく会釈をすると、向かいに座っていたおじさんに鼻で笑われる。そのあと、蕎麦を食べ始めたさゆに向かって「お嬢ちゃんのあの食い方ねありゃいけねェ」と言って食べ方の指導をはじめる。一口目は何もつけずに食べるとか、つゆだけ味見する。それから、先っぽだけつゆにつけて一気にすすりこむとか。しかし、それを聞いていた隣の客があまりにも大きな音を立ててすすることやワサビをつけて食べることに意見してくる。さらに隣の客は、音よりも噛まずにのむことが気になると言い出し、店主まで出てきて蕎麦談義をはじめる始末。蕎麦通の蕎麦痛っぷりには、凄まじいものがあるようだ。

 そして、家でもよく出没するのが鍋奉行。ここでも、さゆのサークル仲間だった白土が登場してくる。鍋奉行といえば、まずこだわるのがダシ。白土も、朝から水につけておいた真昆布に霜降りにした骨付き肉を加え、グラっときたら沸騰寸前の状態で加熱しながらアクを取る。そして、白菜の芯を入れて昆布を取り出し、フタを閉めたら火を止めてここから1時間待つというのだ。「鶏肉を強火で煮るとどんなエエ鶏もパッサパサになってまうねん…」と力説し、待っているあいだは鍋の雑学クイズを出題。食べ始めてからも「新メンバー投入は鍋ぶちからが鉄則!!」「豆腐はスがたたんようにな!!」とみんなに指示を出していく。たしかに、おいしい鍋が食べられるのはありがたいけど、できればあとは食べるだけの状態にしてから呼んでほしい。

 どんなに評判のお店に行っても、素敵な料理を作ってもらっても美味しく感じられないのなら、もしかしたらそれはあなたの隣にいる“通”のせいかも!?

文=小里樹