酒呑童子に耳なし芳一まで! 怪談BLがすごい

BL

公開日:2013/10/20

 日本に古くから伝わるさまざまな怪談話。男に憑りつく女幽霊や子供の幽霊などがたくさん登場するが、腐女子にの手にかかれば、そんな幽霊たちも妄想の対象になってしまうのだ。10月10日に発売された『BL怪談百物語』(インターグロー)には、怪談百物語を元にした作品が収録されている。怪談話に登場する幽霊たちは、いったいどんな風に描かれているのだろう?

 まずは、日本三大怪談のひとつとしても知られる「牡丹燈篭」から。これは、亡くなった女性が幽霊になり、牡丹の灯篭を持ったお供とともに生前恋していた男の元を訪れ、逢瀬を重ねるというもの。のちに幽霊だということがバレて魔除けの札を貼られてしまうのだが、結局最後は男が魅入られてしまう。そんなお話も、腐女子から見ればBLになってしまうのだ。この本で描かれる主人公・新之丞のもとにも、お供を連れたお玉という娘がやってきて、まるで恋人同士のように打ち解けていく。

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しかし、幽霊だということがバレてからは一転。なんと、このお玉は生前川で溺れかけていたところを偶然新之丞に助けられた少年。つまり、“男の娘”だったのだ。そのとき新之丞に一目ぼれした彼は、春画が大好きな新之丞を見ていたので、幽霊になってからは変装することを決意。それを打ち明けたお玉に「し…新之丞さま…そんなに見ないで…」と言われ、新之丞はもう幽霊だということも男だということもどうでもよくなってしまうのだ。こんな怪談話なら、全然怖くない?

 また、源頼光たちに退治されて首を斬られた酒呑童子には、その後も首ひとつで空を飛び回り、町の酒屋に降りて行ってはタダ酒を呑みまくるという話がある。同じように、この作品の中でも酒呑童子は首ひとつで酒を呑みまくっているのだが、彼の場合はちゃんと身体も残っているのだ。しかし、その身体を持っているのは酒呑童子の首を斬った頼光。頼光は、酒呑童子の首が飛び回っている間、その身体を散々弄び、媚薬を使って調教までしてしまう。だから、酒呑童子の首を戻しても彼は立ち上がることさえできず、頼光の思うがままに蹂躙され、夜な夜な喘ぎ声を響かせることになる。ある意味、鬼の首が飛び回って酒を要求するよりもよっぽど恐ろしいかもしれない。

 そして、安徳天皇や平家一門を祀った阿弥陀寺を舞台に、盲目の楽士である芳一が安徳天皇の御陵の前で琵琶を演奏する「耳なし芳一」も、こわ卑猥話に。平家の怨霊に憑りつかれた芳一が、寺を抜け出していることを知った和尚の息子・宗仁は、芳一の身体に経文を書きつけることにした。しかし、乳首や内股に筆を走らせるたびに感じてしまう芳一を見て、我慢できずにそのままHになだれ込んでしまうのだ。本来なら、経文を書き忘れてしまった耳だけが怨霊にとられてしまうのだが、経文の途中だったので怨霊には「耳以外もだいぶ見えておるが…」と言われるものの、坊主である宗仁がいたので耳もとられずにすんだ。そもそも、「耳なし芳一」での芳一と和尚は芸術家とパトロンのような間柄だった。しかも、魔除けのために体中に経文を書くときも、和尚と小僧の2人がかりという羞恥プレイ。この要素だけ見ても、腐女子がBL変換するには十分だったのかも。

 みなさんも、秋の夜長にこわ卑猥話にふけってみるのはいかが?

文=小里樹