サンデル教授はおじさま男子! 文庫を擬人化させたハヤカワ文庫のフリペがすごい

マンガ

更新日:2014/4/14

 2008年から毎年行われていたハヤカワ文庫の100冊フェア。今年も9月の上旬からそのフリーペーパーが配布されているのだが、これがひそかに話題を呼んでいる。というのも、なんとそれぞれの文庫を擬人化して紹介しているのだ。

 話題のフリーペーパーのタイトルは、「ハヤカワ文庫の100冊 2013 凛々しい物語。」。ハヤカワ文庫のフェア100冊を「文系男子」「理系男子」「制服男子」「肉食男子」「草食男子」「武闘派男子」「バディ」といったタイプごとにジャンル分けし、萌えイラストとともに紹介。「おじさま男子」や「人外系」といったニッチなジャンルも押さえているほどの本格派なのだ。もちろん、Twitter上でも「これは女子に対するハヤカワ文庫からのもっと読んでよラブコールでよろしいか?」「ハヤカワ文庫の100冊の冊子が、完全に文系オタク女子を狙っているように見えて。まあ、釣られてるんですけど(´▽`)」と好反応が寄せられている。……で、なんといっても気になるのは、一体どんな作品が紹介されているのか? ということ。ここで一部紹介しよう。

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 まず、『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』(マイケル サンデル:著、鬼澤 忍:訳)のサンデル教授。ハーバード大学の教授で哲学者でもある彼の本は、「おじさま男子」に分類されている。たしかに、サンデル教授自体は素敵な人なのだが、哲学の本であるこの作品がおじさま男子なのは少し違和感があるかもしれない。でも、サンデル教授の知的な口調や雰囲気、優しくリードしてくれる姿は、まさにおじさま男子にふさわしい。

 また、この小冊子ではアニメの『PSYCHO-PASS』ともコラボしているのだが、制服男子係数over300の監視官・宜野座伸元好きにもオススメの本として紹介されているのが『一九八四年』(ジョージ・オーウェル:著、高橋和久:訳)。党が独裁的な権力をふるう近未来で、党員として働くウィンストンが疑問を抱き、自由を求めて行動していくといった話なのだが、なんとこの本は「制服男子」として紹介されているのだ。たしかに、制服は党の青い作業服ぐらいしか出てこないのだが、制服というのは組織の象徴でもある。制服を着たプロとしての自分と、それを脱ぎ捨てようともがく自分。その間で揺れるウィストンは、やはり立派な制服男子なのかも。宜野座の紹介文でも「悩める中間管理職の叫びを聞け!」となっているので、制服好きだけじゃなく宜野座好きなら読んで損はしない!

 そして、相棒やライバルなど、男同士の信頼によってつながっている2人を描く「バディ」には定番のシャーロックホームズのほかに『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ:著、福島正実:訳)の刑事ベイリとロボットの探偵R・ダニールも紹介されている。人間とロボットなのにバディ…? と思うかもしれないが、初めに対立しあっていた2人が徐々に友情を育んでいく過程や強い絆で結ばれた2人の関係性を見れば、納得するはず。

 他にも、『地球の長い午後』(ブライアン W.オールディス:著、伊藤典夫:訳)は仲間から追われた少年グレンの物語かと思いきや、知能を持ったキノコ・アミガサタケがメインの人外系にカテゴライズされているし『ビブリア古書堂の事件手帳』(三上 延/アスキーメディアワークス)でも話題になった『時計じかけのオレンジ』(アントニイ・バージェス:著、乾信一郎:訳)は、肉食男子として紹介されている。「ハヤカワ文庫の100冊 2013 凛々しい物語。」を読めば、あなたもお気に入りの○○男子本が見つかるかも?

文=小里樹