駄女神、駄メイド、駄ルキリー…ダメなのがかわいい!?

マンガ

公開日:2013/11/11

 ダメな子ほどかわいいとはよく言うが、実際ラノベでもダメな子キャラは人気。しかも、いろんな種類のダメな子が登場するのだ。10月1日に発売された『この素晴らしい世界に祝福を! あぁ、駄女神さま』(暁 なつめ:著、三嶋くろね:イラスト/角川書店)には、次々に問題を起こす駄女神が、さらに『ヴァルキリーワークス』(逢空万太:著/蔓木 鋼音:イラスト/ソフトバンククリエイティブ)には駄ルキリー、『不完全神性機関イリス 154cmの最終兵器』(細音 啓:著、カスカベアキラ:イラスト/富士見書房)には駄メイドが出てくるので、彼女たちのダメっぷりを紹介してみよう。

 まず、『この素晴らしい世界に祝福を! あぁ、駄女神さま』に登場する駄女神・アクアは、高飛車だけどなんにもできない。主人公のカズマを異世界に飛ばしておきながら、自分はその街のことなんか一切知らないし、お金も武器も何ひとつ持っていない。どうしてもお金が必要になったら、近くにいた僧侶に「汝、もし私の信者ならば……!……お金を貸してくれると助かります」と上からか下からかよく分からない態度でお金をせびるのだ。そして、巨大なカエル型のモンスターに追いかけ回されて助けを求めるカズマを見て、助ける代わりに私を崇め奉れと言ったくせに一瞬で食われて逆に助けられる始末。さらに、自分が魔王を倒して欲しいと言ったのに「何かこう、もっと楽して魔王討伐できる方法とか無い?」と袖をくいくい引っ張ってかわいらしく尋ねてくる。でも、M属性のある人ならこんなふうにかわいくおねだりされるとなんでも聞いてあげたくなるのかも。

advertisement

 また、『ヴァルキリーワークス』の駄ルキリー・フェルスズにいたっては、古の神々や英雄が所持していた神威と呼ばれる武器などを回収するという任務を負っているのに、神威の力を眠った状態から起こすこともできない。呪文を唱えてもうまくいかなくて、「素直にその剣で斬った方が早いんじゃ」と言われたら「い、今やろうと思ってたんです!そんなこと言われたらやる気なくなるじゃないですか!」と子どものような反論をする。挙げ句の果てには「このっ、このっ、このっ!」とヤケになった駄々っ子のように、剣を振り回す始末。さらに、一般人である高校生の理樹を巻き込むことはできないと言って家を飛び出したくせに、深刻そうな顔で戻ってきたかと思うと「……さっきのオムライス、まだ残っていたら包んでほしいんですけど」とお弁当の注文をする。こんな駄ルキリーを見たら、放っておけなくなるのも仕方がない。

 そして、『不完全神性機関イリス 154cmの最終兵器』にも、駄メイドアンドロイドのイリスが登場する。外見だけは可愛い、自称“優秀で素敵な家政婦ロボ”なイリスだが、来て早々カーテン1枚を焼失。窓ガラス2枚と新品の大皿1枚を使い物にならなくし、リビングの絨毯も丸々水浸しに。フライパンの火に間違って油をかけてしまったり、カレールゥがなかったからとウスターソースを3時間煮詰めたりもする。さらに、掃除を言いつけると床に落ちているものから壁に立てかけてあった写真立て、置き時計まですべてを掃除機で吸いとってしまう。おまけに、責められると「…………ぐすん」と泣いて話を逸らそうとしたり、開き直ったりするイリス。でも、「オニギリが綺麗に握れました! 見て、ほらすっごく綺麗」と言って、自分で作ったおにぎりを見せるためだけに学校までやって来たりもする。どんなに怒られても応えず、「満点のテストを親に自慢する子供みたいに弾んだ笑顔」を見せるのだ。こんな顔を見せられて、怒れる人などいない。

 こうやって見てみると、たしかになんでもできる完璧な女神やヴァルキリー、メイドよりも親近感がわくし、自然と会話や接する機会も増える。そう考えると、やっぱり「ダメな子ほどかわいい」は本当なのかもしれない。

文=小里樹