突撃取材!ゲーム感覚の読書会「ブックポーカー」とは?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 

ポーカー

 

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 人の脳内を覗きたい。特に初対面の人と会う時、相手の趣味嗜好が分かればもっと素早く打ち解けられるだろうにと歯がゆく思うことはないだろうか。だが、それは本を介せば可能であるらしい。相手が読んだ本を知れば、その人自身を知れる。ツブヤ大学主催で10月29日に世界初となるゲーム感覚の読書会「ブックポーカー」が行なわれた。

 持ち寄った本の当て合いをする中で人と人との距離をたやすく縮めるこのイベントにダ・ヴィンチ電子ナビは潜入取材を敢行!本当に本の「当て合い」は可能なのか?初対面の人との距離は縮まるのか?実際に「ブックポーカー」を体験してきた。

 読書会というと、少し難しそうなイメージがあるし、なんせ一般人にはハードルも高い。「ブックポーカー」は、そんな読書会を、もう少しカジュアルにゲーム感覚で楽しめるものにできないか?という思いから生まれたイベントだそうだ。主催者によれば、このゲームはまだテスト段階で、参加者と共にゲームを改善していきたいという。

 この日のイベントには約15名が集結。ゲーム開始前、初対面同士互いに自己紹介をし合う参加者達は何処か緊張した面持ちだ。「ジャンルが広すぎる中での本の当て合いなんて出来るのか心配」「普段、漫画ばかり読んでいるけど、参加して大丈夫なのか」なんて声もチラホラと聞こえてきた。

 最初に7名〜8名程度にグループ分けがされた後、各自が持ち寄った本の内の1冊を他の人に分からないよう審判に渡した後、ゲームが開始した。

>>ブックポーカーの遊び方はこちら(PDF)<<

 

1.会話フェーズ(15〜20分)
 「あなたが持ってきた本の魅力は何ですか?」

 相手への最初の質問は必ずこの言葉でスタート。歩き回って、適宜メモを取りながらプレイヤー達と会話を楽しみ、情報を収集する。会話中に「作品名」や「著者名」を直接聞くのは禁止。それ以外は何を聞いても構わない。解答する方は、なるべく当てられないように工夫する必要があり、答えたくない質問に関しては相手に「ノー・アンサー」といって拒否すれば良い。読書家ならば勝てるというわけではなく、話術も勝敗の鍵となるらしい。

 時折、ゲームだということも忘れて、プレイヤーと普通の会話を楽しみながら、私も相手のプレイヤーに本の魅力を尋ねてみると、様々な答えが返ってきた。

「色んな場所に連れて行ってくれる本」「私の人生の教科書」「迷った時に読みたい本」

 うーん、皆一様に様々な本を持ち寄ったようだ。どの本も気になってしまい、自然と会話が弾む。ある男性プレイヤーは自身が持参した本の魅力について「バブル時代に育った日本人の勢いを感じる本!自分自身も明日から頑張ろう!と思える一冊」と語っていた。頑張ろうと思える本と言ったら、半沢直樹の原作本あたりか?このように検討を付けながら、会話を楽しんでいく。

 

  • ブックポーカー

    限られた時間の中で相手から何を聞き出すのかが重要なポイントだ

 

2.推理フェーズ(10〜15分)
 この時間になると、会話は禁止。審判員が最初に預かっていたプレイヤーの本全てをテーブルの上に並べていく。ビジネス本、小説、ハウツー本…。時にはダミー本も入れて並べられた本を眺めながら、先程得た情報をもととしてプレイヤーと本との組み合わせを推理し、答えを解答用紙に記入する。私はといえば、半沢直樹の原作本がないじゃないかー!と慌てる羽目となった。

3.判定フェーズ
 判定フェーズになると、審判の指示に従い、プレイヤーは一人ずつ自分の持参した本と、思わず読みたくなった書名を発表していく。組み合わせを正解したり、紹介した本に興味を持ってもらえたりすれば、それに応じたポイントが入り、一番ポイントが高い人がチャンピオンとなる。(正解: 10ポイント、評価 : 5ポイント)

 私が半沢直樹系の本、と予想していた人の本はなんと林真理子の『野心のすすめ』だった。思わぬギャップに思わず、あっと言わされてしまった。

 このゲームを、グループ分けを変えながら、3回戦行なった。様々な本を用いて行なっていくと、会が進むにつれて、その人の趣味嗜好が分かってくるようになる。だから、会が進めば進む程、本の話をしているはずなのに、いつのまにか自分を語り、そして相手のことを知っていくことに驚く。また、自分の推理を間違えて相手が意外な本を出してきたことに驚き、その本の魅力に惹かれていく。

 「こんなに頭を使ったのは久しぶり」「他の人が薦めた本が気になった」「読書会より簡単に初対面の人と打ち解けられた」など評価は上々の様子。「ビブリオバトルやブクブク交換会と組み合わせたら面白そう」との意見もあり、新たな可能性も感じられる会だった。

 初対面の相手に向き合う時、何を話して良いか戸惑うことは少なくない。自らの引き出しを上手く開くことが出来ないし、相手が何を好きなのかも分からない。だが、「ブックポーカー」のようにゲーム感覚で相手のことを知れば、話のネタには困らない。相手がどのような趣味を持っているか真剣に考えるから、記憶に残りやすい。そして、新しい本とも出会える。自らの想像力、話術、表現力を駆使して遊び合う「ブックポーカー」は新しい風を巻き起こすに違いない。

 

  • ブックポーカー

    ゲームが終わった後の雑談も本の話題で大いに盛り上がった

 

 今回のイベントを主催したツブヤ大学によれば、今後も「ブックポーカー」を開催していくという。遊び方は簡単なので、オリジナルルールを追加して遊んでみても良いかもしれない。さあ「ブックポーカー」で遊んでみよう!

⇒ 今後の開催予定など詳しくはツブヤ大学ホームページ

 

文 : アサトーミナミ