霜降り肉、カラスミ、フォアグラまで! 家庭でできる食品偽装

食・料理

公開日:2013/11/18

 阪急阪神ホテルズによる食品誤表示に端を発し、高島屋や大丸松坂屋、三越伊勢丹、小田急、そごう・西武などの有名百貨店にまで波及している食品偽装問題。消費者をあざむく行為は許されないものだが、しかし、食品の偽装は古くから日本の一般家庭で行われてきていたことをご存じだろうか?

 家庭での食品偽装術を紹介している『明るい食品偽装入門』(魚柄仁之助/サンガ)によると、たとえば、ボラの卵からできた高級珍味・カラスミを、なんと卵黄で代用してしまうという偽装テクニックが昭和10年に発行された雑誌『主婦之友』に掲載されているという。カラスミといえば、高い物なら100グラムで1万円以上の値がつく。そんな高級品が1パック100~200円の卵で偽装できるなんて、夢のような話ではないか。

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 しかし、つくり方はいささか時間がかかるもの。まず、バットにガーゼかキッチンペーパーを敷いて、その上に卵黄10個につき20グラムの塩をふり、そこに卵黄をそっと並べる。12時間経ったら卵黄を塩と一緒に瓶に詰め、冷暗室で40日間放置。すると黄身は「半透明な、やや赤身がかった黄色の水あめのように」なるそうだ。これをすり鉢などに取り出したら、木べらですり潰し、広げたラップの上でからすみ型にまとめたら冷蔵庫で保存。半日も経てば“本物のからすみみたいに固まる”という。さて、問題は味だが、著者によれば「カラスミっぽい味だが魚臭さはなく(当たり前だが)、割ととっつきやすい味です。でもコッテリとした濃厚な味でもある」とのこと。本物さながらに薄くカットし、定番の薄切り大根とともに出せば……きっと見破られない!?

 また、本書ではいかにも現代的な肉の偽装法も紹介。牛肉偽装問題が発覚した際には硬い赤身肉に脂を注入して人工的にサシをつくる方法が話題となったが、これを家庭で行ってしまうというのだ。

 こちらの偽装法はとてもシンプル。まずはスーパーやお肉屋さんでもらえる牛脂をフライパンで温め、溶かす。そして溶けた牛脂を温めた赤身肉にかけ、花を活けるときに使う剣山でグサグサ刺す! すると約25分で赤身肉にサシが入るそうだ。こうしてできたニセ霜降り肉は、「剣山チクチクでスジがほどよく切れ、そこに脂肪が入りこんでいるので実にやわらかい」らしい。

 このほかにも、鶏レバーを茹でて裏ごしした「偽フォアグラ」や、大豆でつくった「ニセチーズ」など、偽装の世界はバリエーションも豊か。はるか昔、ナポレオン3世がバターの安価版としてつくらせたのがマーガリンの起源といわれているが、偽装とは知恵の宝庫でもある。企業や業者が行えば偽装はアウトだが、家庭でならこれも創意工夫のひとつ。「高級品を食べたいけれど、財布が厳しい」と悩む人は、ぜひこの“明るい食品偽装”を試してみては?