なぜ女性たちは格付けし合うのか? 話題の昼ドラ『天国の恋』の女性キャラたちも!

人間関係

更新日:2017/4/21

 『牡丹と薔薇』『赤い糸の女』などドロドロの人間関係を描く“昼ドラの名手”中島丈博。彼が脚本を手掛ける最新作『天国の恋』(東海テレビ系)がネットを中心に話題を集めている。物語のメインはアラフォー女性と年下男との恋愛だが、視聴者の心を捉えているのは個性的なキャラクター。中でも主人公や腹違いの妹、元同級生たちの会話は、家庭環境から恋愛まであらゆるネタに、マウンティングが張り巡らせられているのだ。

 一般的に男性は「年齢」「社会的な地位」「年収」というシンプルな基準で人間関係を築くが、女性は多くの項目で張り合うと言われている。この複雑な“女子カースト”を解いたのが、少子化ジャーナリストとして多くの女性に取材を重ねてきた、白河桃子氏の『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)である。

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 白河氏は女子カーストが生まれる理由を、「男性は多くの場合、自分の実力次第の人生」になるが、女性の場合は結婚により「『人の人生に乗っかり、格上げする』『リボーン』という夢」が残されていることを上げている。つまり学生時代にモテなくても、高収入の男性と結婚し、都心に一軒家を購入すれば、簡単に階級を飛び越えることができるのだ。そのため、結婚相手の収入・家柄・見た目、挙句のはてには子どもの人数や性別、お受験した学校までがマウンティングの対象になる。

 恐ろしいのは、女子カーストは、子どもがいる「ママカースト」だけでなく、「恋愛・婚活カースト」「女子大生カースト」「オフィスカースト」と、ライフステージごとに存在していること。

 例えば、「婚活カースト」を決定する最重要項目は年齢。若ければ若いほど重宝されるというが、これは女性同士というよりは男性の目線が反映された形になっている。「女子大生カースト」では、社会人や男友達にいかに人脈があるか、合コンや飲み会を上手く盛り上げられるかといった「コミュ力の高さ」が問われる。「オフィスカースト」は、時短制度を活用する「ワーキングマザー」と「子ナシ女性」、会社における居心地の良さや勤続年数を盾に場を支配しようとする「お局様」と「若手」など、より複雑化しているという。

 本書では女子カーストの生まれる場所を「ヒマがある集団」「狭くてぬるい均質な集団」「逃れられない集団(会社、ママ友など)」と指摘。しかし、実社会で生活する人の多くはいずれかの項目に当てはまるコミュニティに所属せざるを得ない。では「女子カースト」から逃れられる手はないのだろうか。

 白河氏いわく「複数の足場を持つこと」「問題解決能力を持つこと」「自分を肯定すること」を身につけることが、女子カーストから抜け出せる道だという。会社での立ち位置を作れなくても、趣味のコミュニティや昔からの友人との関係に重きを置けば、気にならなくなる。また、人間関係のトラブルが起きた時に、問題点の把握や解決方法の模索など、乗り越えるための能力がなれば、「あの人が苦手」と逃げるだけの人生になってしまう。そして、一番大事なのは自己を認めてあげること。自信のない人ほど、他人の目で行動が制限されるカーストに自分自身を閉じ込めがちなのだとか。

 白河氏は女子カーストを「日本の社会が、画一的な価値観によって縛られていた状態から、多様性のある社会に移行しつつある証拠」と前向きに捉えている。現代を生きる女性は、多様性が認められる社会になることを願いながら、女子カーストから抜け出す術を身につけ、乗り越えていくしかない。